WORLD HERITAGE
トラムンタナ山脈の文化的景観
スペイン・マヨルカ島のトラムンタナ山脈は、乾式石積みの段々畑、道、水路、貯水槽、農園に水の乏しい山地への適応を残します。イスラム期の水利、征服と土地再編、農業労働と気候危機を解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 2011年
- 登録基準
- (2)・(4)・(5)
- 種類
- 文化遺産
- 国・地域
- スペイン
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
山地・段々畑・水利施設の構成
急斜面に乾式石積みの段々畑、道、壁、農場、オリーブ園・果樹園が広がり、カナート系水路、溝、貯水槽、水車が水を配ります。眺望だけでなく集水、配水、土壌保持、作物、住居を結ぶ生産景観として読みます。
イスラム期の水管理と征服後の変化
イスラム期に発展した水利・農業技術は、13世紀のキリスト教勢力による征服後も利用・改変されました。技術交流を平和的な継承だけで語らず、ムスリム住民の追放・従属、土地・水利権の再配分と封建農園の形成を追います。
乾式石積み・水路・農耕技能
モルタルを使わない石積みは排水と土圧へ対応し、水路・貯水は限られた水を管理します。地主や技師だけでなく石工、水番、農民、収穫者、女性の加工・家事、ラバ運搬の技能を扱い、維持されて初めて機能する景観と捉えます。
土地・水利権・季節労働
水の順番、農地保有、小作・季節労働は社会関係を形づくりました。荘園景観を調和的な農村として美化せず、土地を持たない労働者、女性、移民の賃金・住居を扱います。現在の農業衰退と観光雇用への移行も追います。
登録基準(ii)(iv)(v)と遺産価値・検定ポイント
基準(ii)は地中海・イスラム水利技術の交流、基準(iv)は段々畑・水利・農園の技術的まとまり、基準(v)は水の乏しい山地に適応した土地利用を評価します。検定ではマヨルカ、乾式石積み、水利、三基準を整理します。
干ばつ・火災・観光住宅化の保全
干ばつ、豪雨、石垣崩壊、山火事、耕作放棄、外来種、別荘・道路、短期賃貸が課題です。石工技能を継承し、水路・段畑を現役農業として維持します。観光で住宅・水を奪わず、小規模農家と労働者を支援します。
旅行・私有農地への配慮
登山道、火災、暑熱、水、農園公開、交通は変動するため、必ず再確認します。私有畑・水路へ入らず、石垣を崩さず、征服と労働の歴史を美しい景観から切り離しません。
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