概要
サンティアゴ・デ・コンポステーラは、スペイン北西部ガリシア州の州都であり、エルサレム、ローマと並ぶキリスト教の三大巡礼地の一つです。イエス・キリストの十二使徒の一人である聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の墓所とされるサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を擁し、中世以来、ヨーロッパ中から多くの巡礼者が訪れてきました。大聖堂を含む旧市街は、1985年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
歴史
9世紀初頭、この地で聖ヤコブの墓が発見されたとされ、アストゥリアス王アルフォンソ2世の命で最初の聖堂が建設されました。この発見は、イスラム勢力とのレコンキスタ(国土回復運動)の最中にあったキリスト教徒の精神的支柱となり、巡礼地として急速に発展しました。10世紀末にイスラム軍によって破壊されましたが、11世紀から13世紀にかけてロマネスク様式の大聖堂として再建され、その後もゴシック、バロック様式などが増築されて現在の姿になりました。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂
大聖堂は、ロマネスク、ゴシック、バロックなど様々な建築様式が融合した壮麗な建築物です。
- オブラドイロ広場のファサード:大聖堂の正面を飾る豪華絢爛なファサードは、18世紀にスペイン・バロック(チュリゲラ様式)で建設されました。
- 栄光の門:ファサードの内部にあるロマネスク彫刻の最高傑作。マテオ師の作で、世界の終末と最後の審判が描かれています。
- ボタフメイロ:特定の祝祭日にのみ行われる、巨大な香炉を振り子のように振る儀式。大聖堂の名物となっています。
世界遺産登録基準
- (i) サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の「栄光の門」はロマネスク彫刻の傑作であり、旧市街全体が優れた都市景観を形成している。
- (ii) 中世を通じて、巡礼路を通じてヨーロッパ各地の文化がこの地に集まり、多大な影響を与え合った。
- (vi) 聖ヤコブ信仰の中心地として、サンティアゴ・デ・コンポステーラはキリスト教世界において比類ない精神的・歴史的重要性を持つ。