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オフリド地方の自然及び文化遺産

オフリド地方の自然及び文化遺産とは

オフリド地方の自然及び文化遺産は、北マケドニア共和国とアルバニア共和国にまたがる、オフリド湖とその周辺地域に広がる複合遺産です。1979年にまず自然遺産として、翌1980年に文化遺産としてユネスコの世界遺産に登録されました。その後、2019年にはアルバニア側の湖岸地域にも範囲が拡大され、国境を越える遺産(トランスバウンダリー・サイト)となっています。

ヨーロッパ最古・最深の湖の一つであるオフリド湖の類まれな自然環境と、古代からビザンツ帝国時代にかけての豊かな文化的・宗教的遺産が融合している点が特徴です。特に中心都市オフリドは「スラヴのエルサレム」とも呼ばれ、歴史的な教会や修道院が数多く残されています。

世界遺産としての価値

登録基準

この遺産は、以下の4つの登録基準を満たしていると評価されています。

  • (i) 人類の創造的才能を表す傑作。ビザンツ様式の教会建築や、聖ソフィア大聖堂などに残る中世のフレスコ画がこの基準に該当します。
  • (iii) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。古代から中世にかけてのキリスト教文化の発展を示す考古遺跡や建築物群が、その歴史を物語っています。
  • (iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。オフリド市内に点在するビザンツ様式の教会や要塞は、当時の建築技術と宗教的中心地としての景観を代表する顕著な例です。
  • (vii) ひときわ優れた自然美や美的重要性を持つ、最上級の自然現象または地域。透明度の高いオフリド湖と周辺の山々が織りなす美しい景観が評価されています。また、湖には200種以上の固有種が生息する独自の生態系が維持されています。

主な構成資産

オフリド地方の自然及び文化遺産は、豊かな自然と貴重な文化財から構成されています。その中でも代表的なものを以下に示します。

構成資産 特徴
オフリド湖 ヨーロッパ最古・最深級の古代湖。高い透明度と、固有種が多数生息する独自の生態系を持つ。
オフリド旧市街 石畳の道や伝統的な家屋が残る歴史地区。丘の上には古代の劇場やサミュエル要塞が位置する。
聖ソフィア大聖堂 11世紀に建立されたオフリドを代表する教会。内部にはビザンツ美術の傑作とされるフレスコ画が残る。
聖ヨヴァン・カネオ教会 湖に突き出た崖の上に建つ、オフリドの象徴的な景観をなす教会。
聖クリメント・聖パンテレイモン教会 キリル文字の普及に貢献した聖クリメントの活動拠点。発掘された5廊式のバシリカの上に再建された。

観光と保全

風光明媚なオフリド地方は、バルカン半島有数の観光地として多くの観光客を魅了しています。しかし、近年の観光開発や都市化による遺産への影響が懸念されています。そのため、歴史的建造物の修復や湖の生態系保全など、持続可能な観光を実現するための取り組みが続けられています。

この貴重な自然と文化の調和を未来へ引き継ぐためには、地域社会と訪問者が一体となった保全への意識が不可欠です。

参考文献

オフリド地方の自然及び文化遺産の基本情報

                         
国名 北マケドニア共和国
世界遺産の名称 オフリド地方の自然及び文化遺産
遺産の種類 複合遺産
登録年 1979
拡張・範囲変更 2019, 1980
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅰ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅶ)
備考
範囲(ヘクタール)94728.6
地図

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