概要
マトボの丘群は、ジンバブエ南西部に広がる、無数の花崗岩の巨石や奇岩が織りなす独特の景観を持つ地域です。この地は20億年以上前の地殻変動によって形成され、風雨による侵食が現在の劇的な地形を生み出しました。古くから人類が居住し、数千年以上にわたるサン人(ブッシュマン)のロックアートが多数残されていることから、「人類と自然の相互作用」を物語る複合的な価値が評価され、2003年に世界文化遺産に登録されました。
文化的・自然的価値
マトボの丘群は、文化的にも自然的にも非常に重要な意味を持っています。
- 膨大なロックアート:洞窟や岩陰には、狩猟の様子や儀式、人々の生活を描いたサン人の壁画が3,500箇所以上も残されており、南部アフリカで最もロックアートが集中している地域の一つです。
- 信仰の聖地:この地域は現在でもショナ人やンデベレ人にとって神が宿る聖地とされ、雨乞いの儀式などが行われる信仰の中心地です。
- 豊かな生態系:マトボ国立公園として保護されており、絶滅危惧種のクロサイやシロサイをはじめ、ヒョウや多種多様な鳥類が生息する野生動物の楽園でもあります。
世界遺産登録基準
- (iii) 消失した文明の存在を証明する、類いまれな証拠であること。
- (v) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地利用の顕著な見本であること。
- (vi) 顕著な普遍的意義を有する出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または明白に関連していること。