グアナカステ保全地域とは
コスタリカ北西部に位置する広大な自然保護区で、1999年に世界自然遺産に登録されました。太平洋岸の熱帯乾燥林から、内陸の火山地帯の雲霧林まで、途切れることのない生態系が保全されている点が特徴です。これは「生態系の回廊(エコロジカル・コリドー)」と呼ばれ、生物多様性保全の先進的な取り組みとして高く評価されています。
登録基準
- (ix) 陸上生態系の進化と発達において進行しつつある重要なプロセスを示す顕著な見本。季節によって移動する昆虫や鳥類、哺乳類などが、標高差のある多様な森を利用する様子は、生態系のつながりを示す生きた見本です。
- (x) 生物多様性の本来的保全にとって最も重要な自然の生息地。ジャガーやベアードバク、オオアリクイといった絶滅危惧種を含む、中央アメリカの陸上生物多様性の重要な拠点となっています。
遺産の価値
グアナカステ保全地域の最大の価値は、かつて伐採や放牧で分断された森林を再生させ、沿岸の低地から山地の高地までを繋ぐ「生態系の回廊」を復活させたことにあります。これにより、動物たちは季節に応じて餌や繁殖場所を求めて安全に移動できるようになり、多くの種の個体群が維持されています。この大規模な生態系回復プロジェクトは、世界中の自然保護活動のモデルとなっています。
遺産の概要
保護地域はサンタ・ロサ国立公園やグアナカステ国立公園など複数のエリアから構成されます。太平洋沿岸には、乾季に落葉する熱帯乾燥林が広がり、標高が上がるにつれて常緑の湿潤熱帯林、そして山頂付近は常に霧に包まれた雲霧林へと変化します。この多様な環境が、多種多様な動植物の生息を支えています。
観光と保全
この地域では、科学的研究と環境教育、そしてエコツーリヅムが密接に連携しています。訪問者は、研究ステーションに滞在したり、ガイド付きのハイキングに参加したりすることで、生態系回復の現場を直接見ることができます。観光からの収益は、地域の保全活動や研究に再投資され、持続可能な保護管理が実践されています。
グアナカステ保全地域の主な動植物
| 動物 | 植物 |
|---|---|
| ジャガー | グアナカステの木 |
| ベアードバク | 熱帯乾燥林のラン |
| ハナグマ | 雲霧林の着生植物 |
| ウミガメ(産卵地) | マングローブ |