ジョギンズ化石断崖とは
ジョギンズ化石断崖は、カナダのノバスコシア州のファンディ湾に面した海岸線に続く崖です。ここは「石炭紀のガラパゴス」とも呼ばれ、約3億年前の「石炭紀」の植物や動物の化石が、世界で最も完全な形で保存されている場所として知られています。
世界遺産登録の経緯
この断崖では、巨大なシダ植物が繁茂した熱帯雨林の化石や、生物が巣穴で生きていたままの状態で化石化した例など、当時の生態系がそのまま記録されています。この学術的価値の高さから、2008年に登録基準(viii)を満たして世界自然遺産に登録されました。
遺産の価値
ジョギンズは、地球の生命史における重要な一時期を解明する上で、他に類を見ない価値を持っています。
- 地球史の重要な段階の証拠(登録基準viii):石炭紀の陸上生態系を知るための最も優れた記録です。特に、直立したまま化石となった樹木の幹の中から、知られる限り最古の爬虫類「ヒロノムス」の化石が発見されたことは画期的でした。
- 科学史上の重要性:19世紀に地質学の父チャールズ・ライエルが調査し、その発見はチャールズ・ダーウィンの『種の起源』にも影響を与えるなど、科学史においても重要な役割を果たしてきました。
主な化石
ファンディ湾の強力な潮汐が常に崖を侵食するため、今でも新しい化石が発見され続けています。
| 化石 | 説明 |
|---|---|
| 鱗木(リンボク)などの植物化石 | 高さ30mにも達した石炭紀の巨大なシダ植物。森がそのまま化石になっている。 |
| ヒロノムス | 知られている中で最古の爬虫類の化石。樹木の化石の中から発見された。 |
| アースロプレウラ | 体長2mにもなったとされる史上最大級の陸生節足動物(多足類)の化石。 |
| 生痕化石 | 動物の足跡や巣穴など、生命活動の痕跡が残された化石。 |
ジョギンズ化石断崖は、過去への窓であり、生命の進化の物語を雄弁に語る、地球の貴重な記録です。