ランス・オ・メドー国定史跡とは
ランス・オ・メドーは、カナダのニューファンドランド島最北端に位置する、11世紀頃にヴァイキング(北欧のノース人)が築いた入植地の遺跡です。ヨーロッパ人がクリストファー・コロンブスより約500年も前に北米大陸に到達していたことを示す、考古学的に極めて重要な物証です。
世界遺産登録の経緯
1960年にノルウェーの探検家夫妻によって発見され、その後の発掘調査でノース人のものと特定されました。この発見は、北米におけるヨーロッパ人の活動史を書き換えるものであり、その普遍的価値が認められ、1978年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。適用された登録基準は(vi)です。
遺産の価値
ランス・オ・メドーの価値は、以下の点に集約されます。
- ヨーロッパ人による北米大陸到達の最古の証拠:サガ(北欧の伝承)に記された「ヴィンランド」の存在を裏付ける唯一確実な考古学的証拠です。
- 大陸間交流の物証:復元された木造のロングハウスや鍛冶工房の跡は、大西洋を越えたヴァイキングが、故郷の建築技術や生活様式を新大陸に持ち込んだことを示しています。
主な遺構
遺跡公園内には、発掘された遺構と、それらを基に復元されたヴァイキングの村があります。草葺き屋根の建物、鉄の精錬炉跡などが点在し、当時の生活を偲ぶことができます。
| 遺構 | 説明 |
|---|---|
| 草葺き屋根の建物跡 | ヴァイキングの住居や工房の遺構。一部は復元されている。 |
| 鉄の精錬炉 | 沼鉄鉱から鉄を生産していた金属加工の跡。 |
| 船の修理場跡 | 航海に不可欠だった船のメンテナンスを行っていた場所。 |
この史跡は、人類の探検と移住の歴史における重要な一章を物語っており、歴史の転換点を示す貴重な遺産として保護されています。