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ワッデン海

ワッデン海とは

ワッデン海は、デンマーク、ドイツ、オランダの3か国にまたがる広大な浅海域と干潟地帯で、2009年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。地球上で最大級の連続した砂泥干潟システムであり、その独特でダイナミックな生態系が高く評価されています。潮の干満によって日々景観が変化し、多種多様な生物を育む重要な環境です。特に、渡り鳥にとっては不可欠な休息・採餌地として国際的に重要な役割を担っています。

登録基準

この遺産は、以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録されました。

  • (viii) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには、生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (ix) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において、進行中の重要な生態学的・生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (x) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには、科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

遺産の価値と特徴

生態系の多様性

ワッデン海は、干潟、砂州、塩性湿地、砂丘、水路といった多様な環境がモザイク状に広がり、豊かな生態系を形成しています。ゼニガタアザラシやハイイロアザラシの繁殖地であるほか、毎年1000万羽を超える渡り鳥が飛来し、栄養豊富な干潟で羽を休め、餌をとります。

保全活動

ワッデン海の保全は、デンマーク、ドイツ、オランダの3か国が協力して行う国際的な取り組みのモデルケースとなっています。持続可能な観光や漁業を推進しつつ、この唯一無二の自然環境を将来世代に引き継ぐための科学的調査や管理計画が進められています。

地理と気候

北海沿岸に位置し、全長約500kmにわたって広がっています。気候は西岸海洋性気候で、年間を通じて比較的穏やかですが、風が強く天候が変わりやすい特徴があります。

動物 植物
アザラシ 塩性湿地植物
渡り鳥(シギ、チドリ類など) 海草(アマモなど)
魚類(カレイ、ヒラメなど)
無脊椎動物(貝類、甲殻類など)

参考文献

「ワッデン海」. UNESCO World Heritage Centre. https://whc.unesco.org/ja/list/1314

ワッデン海の基本情報

                         
国名 オランダ王国 ドイツ連邦共和国 デンマーク王国
世界遺産の名称 ワッデン海
遺産の種類 自然遺産
登録年 2009
拡張・範囲変更 2014
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅷ)(ⅸ)(ⅹ)
備考
範囲(ヘクタール)1143403
地図

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