ウィレムスタットの歴史地区とは
ウィレムスタットの歴史地区は、カリブ海に浮かぶキュラソー島にある港町で、1997年に世界文化遺産に登録されました。17世紀にオランダによって建設され、天然の良港であるシント・アンナ湾を挟んで4つの地区から構成されています。オランダ本国の伝統的な建築様式と、カリブ海の鮮やかな色彩感覚や気候風土が融合した、パステルカラーのカラフルな街並みが最大の特徴です。「カリブ海のミニ・アムステルダム」とも称され、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸の文化が交差した植民都市の姿を良好に保存しています。
世界遺産の登録基準
- 登録基準(ii): 3世紀にわたり、アフリカ、南北アメリカ、ヨーロッパの諸文化が交流し、オランダの都市計画理念を基盤にしながらも独自の豊かな文化を育んだことを示している。
- 登録基準(iv): カリブ海地域におけるオランダ植民都市の発展を物語る、建築的・歴史的に優れた例である。
- 登録基準(v): 自然の港湾地形を活かした都市の発展と、多文化共生社会を反映した土地利用の顕著な見本である。
遺産の価値と概要
ウィレムスタットの価値は、その美しい街並みが多文化交流の歴史を物語っている点にあります。湾の東岸にあるプンダ地区は、切妻屋根を持つオランダ風の建物が並びますが、その壁はピンク、ブルー、イエローなど鮮やかな色で塗られています。これは、強い日差しの反射を和らげるため、また熱帯の気候に適応するための工夫から生まれたスタイルと言われています。湾の西岸のオトロバンダ地区は、より迷路のような路地が特徴的な庶民的な地区で、多様な文化が混じり合った独特の雰囲気を持ちます。これらの景観は、大航海時代以降の複雑な歴史と、異なる文化が共存し新たなスタイルを生み出す過程を視覚的に伝えています。
主要な4つの歴史地区
- プンダ: 1634年に最初に建設された地区。カラフルな商館が並ぶ街並みは「ハンデルスカーデ」として有名。
- オトロバンダ: 18世紀に発展した地区。「向こう側」を意味し、より曲線的で有機的な街路が特徴。
- スカーロ: 18世紀から19世紀にかけて、裕福なユダヤ系商人が邸宅を構えた地区。壮麗な建築が見られる。
- ピーターマーイ: スカーロの東に広がる地区。かつての邸宅がブティックホテルやレストランに改装されている。