ブルー・マウンテンズ地域とは
ブルー・マウンテンズ地域は、シドニーの西約100kmに広がる砂岩の台地で、2000年に世界自然遺産に登録されました。広大なユーカリの森から蒸発する油分が太陽光に反射し、一帯が青く霞んで見えることからその名が付きました。100万ヘクタールを超えるこの地域は、7つの国立公園から構成され、オーストラリア大陸の植物、特にユーカリの進化と多様性を示す類まれな場所です。
世界遺産としての価値
この地域は、以下の2つの登録基準で評価されています。
- 登録基準 (ix): 90種を超えるユーカリ(オーストラリアに現存する種の13%)が生育しており、硬葉樹林から湿地、閉鎖林まで、オーストラリア大陸の生態学的適応と進化の過程を代表する顕著な見本です。
- 登録基準 (x): 「生きた化石」として知られるウォレマイ・パインをはじめ、多くの固有種や絶滅危惧種を含む、非常に高い生物多様性を維持しています。
ユーカリの森と古代植物
ブルー・マウンテンズ地域の核心的価値は、その圧倒的なユーカリの多様性にあります。乾燥した気候、頻繁な森林火災、栄養の乏しい土壌といったオーストラリアの厳しい環境に適応するため、ユーカリがいかに多様な形態に進化したかをこの場所で観察することができます。また、1994年に地域の奥地で発見された「ウォレマイ・パイン」は、恐竜時代(約2億年前)から姿を変えずに生き延びてきた古代植物であり、20世紀最大の植物学的発見の一つとされています。この発見は、この地域の生物多様性の奥深さを象徴しています。
観光と保全
シドニーから日帰りでアクセスできるため、人気の観光地となっています。「スリー・シスターズ」と呼ばれる奇岩を望むエコー・ポイントからの眺めは特に有名です。多くのハイキングコースや展望台が整備されていますが、一方で増え続ける観光客による環境負荷や、気候変動に伴う大規模な森林火災が深刻な脅威となっています。ウォレマイ・パインの自生地は非公開とされ、厳重に保護されています。
| 分類 | 代表的な種 |
|---|---|
| 動物 | フクロモモンガ、ワライカワセミ、コトドリ、ブルーマウンテン・ウォータースキンク |
| 植物 | ユーカリ各種、ウォレマイ・パイン(ウォレミマツ)、ティーツリー |