オーストラリアのゴンドワナ雨林とは
オーストラリアのゴンドワナ雨林は、ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州の州境付近に広がる亜熱帯雨林群で、1986年に世界自然遺産に登録されました。この地域は、古代の超大陸ゴンドワナに由来する植物が多く現存することから名付けられました。数千万年から数億年前にさかのぼる原始的な植物群が今なお生い茂り、「生きた化石」の森とも呼ばれています。
世界遺産としての価値
この雨林群は、以下の3つの登録基準を満たしています。
- 登録基準 (viii): 火山の噴火口跡や、超大陸ゴンドワナ時代から続く植物の進化の痕跡など、地球の歴史の主要な段階を示す顕著な見本です。
- 登録基準 (ix): シダ植物や裸子植物といった原始的な分類群が世界で最も集中しており、植物の進化の過程や生態学的プロセスを示す優れた事例です。
- 登録基準 (x): 絶滅危惧種を含む200種以上の希少な動植物の生息地であり、生物多様性の保全にとって極めて重要な地域です。
「生きた化石」の森
ゴンドワナ雨林の最大の価値は、太古の生態系を今に伝えている点にあります。特に、冷涼な気候に適応した「ナンキョクブナ」の森は、オーストラリアが南極大陸と陸続きだった時代の名残です。また、世界最古のシダ植物や、恐竜時代から生き延びてきたウォレマイ・パイン(ブルー・マウンテンズ地域で発見)の近縁種など、植物の進化史を解き明かす上で重要な種が数多く自生しています。動物では、美しい鳴き声と求愛ダンスで知られるコトドリなどが生息しています。
観光と保全
ラミントン国立公園やスプリングブルック国立公園など、複数の国立公園が含まれており、ハイキングコースや展望台が整備されています。訪問者は、太古の森の雰囲気を感じながら、滝や渓谷の美しい景観を楽しむことができます。森林火災や気候変動、外来種の侵入などが脅威となっており、これらの影響を監視し、貴重な生態系を未来へ引き継ぐための継続的な管理と研究が行われています。
| 分類 | 代表的な種 |
|---|---|
| 動物 | アオアズマヤドリ、コトドリ、アカクビヤブワラビー |
| 植物 | ナンキョクブナ、ドリアンドラ・シダ、スパイラル・ケーン・パーム |