ヒヴァのイチャン・カラの写真

ヒヴァのイチャン・カラ

ヒヴァのイチャン・カラとは

ウズベキスタンのホラズム地方に位置するヒヴァは、周囲を高い城壁で囲まれた内城「イチャン・カラ」がそのまま野外博物館のようになっている都市です。伝説ではノアの息子シェムによって発見されたと伝えられ、かつてはシルクロードの隊商路の最後の休息地として栄えました。1990年、中央アジアで初めて世界文化遺産に登録され、その保存状態の良い城壁都市は訪れる人々を中世の世界へと誘います。

世界遺産登録基準

  • (iii) かつて中央アジアに存在したホラズム汗国の首都として、失われた文明や文化的伝統を伝える類い稀な証拠です。
  • (iv) イスラム建築の傑出した例が集中しており、モスク、マドラサ、ミナレット、宮殿などが一体となって中世都市の景観を形成しています。
  • (v) 過酷な砂漠環境に適応した伝統的な人間の居住形態と土地利用の優れた見本です。

遺産の価値

保存された中世都市の姿

イチャン・カラの最大の価値は、高さ約10m、厚さ5-6mの日干しレンガの城壁に囲まれた約26ヘクタールの区域全体が、ほぼ完全な形で保存されている点にあります。曲がりくねった路地を歩けば、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。

イスラム建築の宝庫

城内には50以上の歴史的建造物が密集しています。特に、鮮やかな青いタイルで覆われた未完のミナレット「カルタ・ミナル」や、218本の木柱が林立するジュマ・モスクなど、ホラズム地方独特の建築様式が見られます。

主な見どころ

イチャン・カラの西門から入ると、すぐに目に入るのが「カルタ・ミナル」です。他にも、ヒヴァで最も高いイスラーム・ホジャ・ミナレット、かつてのハーンの宮殿であるタシュ・ハウリ宮殿など、見どころが尽きません。

建築物名 特徴
カルタ・ミナル 青いタイルが美しい未完成のミナレット。完成すれば中央アジアで最も高くなる予定だった。
ジュマ・モスク 10世紀創建。218本の精巧な木彫りの柱が林立する独特の空間。
タシュ・ハウリ宮殿 「石の館」の意味。ハレム(後宮)の壁を飾るタイル装飾が有名。
イスラーム・ホジャ・ミナレット 高さ57mのヒヴァで最も高いミナレット。市街を一望できる。

観光と保全

イチャン・カラは、その凝縮された歴史空間が観光客に人気ですが、日干しレンガ造りの建物が多く、風化や浸食からの保護が不可欠です。伝統的な工法を用いた修復作業が継続的に行われ、歴史的景観の維持が図られています。

ヒヴァのイチャン・カラの基本情報

                         
国名 ウズベキスタン共和国
世界遺産の名称 ヒヴァのイチャン・カラ
遺産の種類 文化遺産
登録年 1990
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅲ)(ⅳ)(ⅴ)
備考
範囲(ヘクタール)37.5
地図

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