概要
タフテ・スレイマーンは、イラン北西部の西アーザルバーイジャーン州にある考古遺跡で、「ソロモンの玉座」を意味します。サーサーン朝時代(3世紀~7世紀)にはゾロアスター教の最も重要な聖地の一つとされ、火の神殿が置かれていました。また、13世紀にはイルハン朝の離宮が築かれるなど、文化的・宗教的に重要な場所であり続けました。2003年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (i) 中央の湖を取り囲む独特の空間設計は、人類の創造的才能の傑作です。
- (ii) ゾロアスター教とイスラム教の建築様式が融合した例として、重要な文化交流を示しています。
- (iii) 1500年以上にわたり、主要な宗教の中心地として機能した信仰の伝統を証明しています。
- (iv) ゾロアスター教の聖地とイスラム時代の宮殿の設計は、建築史上、重要な発展段階を示しています。
- (vi) ソロモン王やゾロアスター教に関連する伝説と深く結びついており、顕著な普遍的意義を持っています。
主な施設
標高約2200メートルの火山性台地に位置し、中央のカルデラ湖を囲むように神殿や宮殿、要塞壁が配置されています。
施設 | 特徴 |
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神聖な湖 | 遺跡の中心に位置するカルデラ湖で、古代から信仰の対象とされた。 |
火の神殿 | サーサーン朝時代のゾロアスター教の主要な神殿跡。 |
アーナヒーター神殿 | 水の女神アーナヒーターに捧げられたとされる神殿跡。 |
イルハン朝時代の宮殿 | 13世紀にモンゴル系のイルハン朝によって建設された宮殿の遺構。 |
遺産の価値
タフテ・スレイマーンは、ゾロアスター教の重要な聖地として、またその後のイルハン朝の権力の中心として、イランの歴史において特別な位置を占めています。自然の地形を巧みに利用したその都市計画と建築は、宗教的・機能的デザインの優れた例として高く評価されています。遺跡は良好な状態で保存されており、その歴史的価値が未来に伝えられています。