アグリジェントの考古地区の写真

アグリジェントの考古地区

アグリジェントの考古地区とは

アグリジェントの考古地区は、イタリアのシチリア島南岸に位置する古代ギリシャの植民都市アクラガスの広大な遺跡群です。1997年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。紀元前6世紀に建設されたこの都市は、地中海世界で最も重要な都市の一つとして栄え、現在も壮麗な神殿群がその栄華を今に伝えています。

「神殿の谷(Valle dei Templi)」として知られるこの地区には、ドーリア式の神殿が非常に良い状態で保存されており、ギリシャ本土以外では最も優れたギリシャ建築群の一つとされています。

世界遺産としての価値

登録基準

アグリジェントの考古地区は、以下の4つの基準を満たしたことが評価され、世界遺産に登録されました。

  • 基準(i): 壮大な神殿群は、ドーリア式建築の傑作であり、人類の創造的才能を証明するものです。
  • 基準(ii): ギリシャとローマ、さらには後の時代の文化が融合し、建築や都市景観に影響を与え合った文化交流の顕著な例です。
  • 基準(iii): 古代都市アクラガスの遺跡は、マグナ・グラエキア(南イタリアのギリシャ植民地)におけるギリシャ文明の存在を証明する、類いまれな証拠です。
  • 基準(iv): 保存状態の良い神殿群は、古代ギリシャの宗教建築と都市計画を理解する上で、歴史の重要な段階を物語る優れた見本です。

主な見どころ

神殿の谷には、古代の信仰と建築技術を物語る数多くの遺跡が点在しています。中でも特に有名なものを紹介します。

遺跡名 特徴
コンコルディア神殿 紀元前5世紀に建てられたドーリア式神殿。奇跡的ともいえるほど保存状態が良く、アグリジェントの象徴的な存在です。
ヘラ(ユノ)神殿 神殿の谷の東端に位置し、丘の上から海を望む美しい神殿。柱廊の一部が残っています。
ヘラクレス神殿 アクラガスで最も古い神殿の一つとされ、巨大な柱が1本だけ再建されています。その大きさが往時の壮大さを物語ります。
ディオスクロイ神殿 双子の神カストルとポルックスに捧げられました。4本の柱と梁が再建され、遺跡の中でも特に人気の撮影スポットです。

観光と保全

アグリジェントの考古地区は、世界中から多くの観光客が訪れる人気の観光地です。遺跡の劣化を防ぎ、未来の世代にこの貴重な遺産を引き継ぐため、訪問者の増加と環境保全の両立を目指す「持続可能な観光」への取り組みが進められています。

遺跡の保護に関するルールを守り、歴史への敬意を払って見学することが、私たち訪問者一人ひとりに求められています。この壮大な古代文明の証を体感することは、文化遺産保護の重要性を再認識する貴重な機会となるでしょう。

基本情報

所在地 イタリア共和国 シチリア州 アグリジェント県
登録年 1997年
登録種別 文化遺産
登録基準 (i), (ii), (iii), (iv)
公式サイト Valle dei Templi

アグリジェントの考古地区の基本情報

                         
国名 イタリア共和国
世界遺産の名称 アグリジェントの考古地区
遺産の種類 文化遺産
登録年 1997
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)
備考
範囲(ヘクタール)934
地図

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