エルツ山地(クルスナホリ)鉱業地域とは
エルツ山地(ドイツ語)/クルスナホリ(チェコ語)は、ドイツとチェコにまたがる鉱業地域です。12世紀から20世紀にかけて、銀、錫、コバルト、ウランなど多様な金属が採掘され、ヨーロッパの技術、科学、経済の発展に大きな影響を与えました。この800年にわたる鉱業の歴史を物語る景観が評価され、2019年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
この地域は、鉱業活動がもたらした技術革新と、それが形成した文化的景観の重要性において、世界的に顕著な価値を持っています。
- 登録基準(ii): エルツ山地で開発された採掘、水力利用、冶金などの革新的な技術は、ヨーロッパ全土、さらには新大陸にまで伝播し、鉱業技術の発展における重要な交流を示しています。
- 登録基準(iii): 鉱夫の伝統、鉱山都市の祭り、芸術や工芸品など、鉱業に根差した独自の文化が生まれ、現在まで受け継がれています。
- 登録基準(iv): 坑道、選鉱施設、水力システムといった鉱業遺産から、鉱山都市、教会、記念碑に至るまで、中世から近代までの鉱業の歴史の各段階を示す建造物群が良好に保存されています。
主要な鉱業都市と関連遺産
- フライベルク(ドイツ): 銀鉱山の中心地として栄え、世界最古の鉱山大学であるフライベルク工科大学があります。
- ヤーヒモフ(チェコ): 銀貨ターラー(ドルの語源)の鋳造で知られ、後にはウラン鉱石からラジウムが発見された場所でもあります。
- アルテンベルク(ドイツ): 巨大な陥没跡(ピンゲ)が特徴的な錫鉱山の町。