ナウムブルク大聖堂とは
ナウムブルク大聖堂は、ドイツ中東部のザクセン=アンハルト州ナウムブルクに位置する聖堂で、2018年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。13世紀に建設が始まり、前期ロマネスク様式から盛期ゴシック様式への移行期におけるヨーロッパ建築の傑作とされています。特に、西陣の内陣に設置された彫刻群は、中世ヨーロッパ美術の最高峰の一つと称されています。
遺産の価値
この大聖堂の価値は、建築と彫刻が一体となって生み出す芸術性の高さに集約されます。
ロマネスクとゴシック様式の融合
大聖堂の東側はロマネスク様式、西側はゴシック様式で建設されており、二つの異なる建築様式が一つの建物内で見事に調和しています。特に、フランスのゴシック様式の影響を受けた西陣は、その洗練されたデザインで知られています。
「ナウムブルクの師」による写実的な彫刻群
最大のハイライトは、西の内陣障壁に施された彫刻群です。制作者は「ナウムブルクの師」として知られる無名の天才彫刻家で、聖書の場面や12人の寄進者像が驚くほど写実的に、そして人間味豊かに表現されています。中でも、寄進者の一人であるウタ・フォン・バレンシュテットの像「辺境伯妃ウタ」は、その気品ある美しさから「中世で最も美しい女性」と称えられています。
世界遺産としての評価
ナウムブルク大聖堂は、以下の登録基準を満たしたことが評価されました。
- (i) 西の内陣は、中世の建築と彫刻が一体となった人類の創造的才能の傑作である。
- (ii) 13世紀前半の芸術と建築における文化的交流を証明する、他に類を見ない証拠である。