黄龍の景観と歴史地域
黄龍(こうりゅう)は、中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州に位置する景勝地で、1992年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。石灰華(石灰質化学沈殿物)が長い年月をかけて形成した棚田状の湖沼群(石灰華段)や、多彩な色彩を見せる湖沼で知られています。「人間瑶池(この世の仙境)」とも称されるその景観は、多くの人々を魅了します。
自然が創り出した色彩の奇跡
黄龍の最大の価値は、その独特な地質学的特徴と豊かな生物多様性にあります。
- 自然美: カルスト地形の作用によって生まれた石灰華段は、高低差3.6kmにわたって連なります。そこを流れる水は炭酸カルシウムを豊富に含み、光の反射や水中の鉱物、藻類によって乳白色、黄色、緑色、青色など、幻想的な色彩を織りなします。特に「五彩池」はその美しさを象徴する景観です。
- 生物多様性: 標高3,000メートルを超える高地に位置するため、独自の生態系が保たれています。周辺の原生林には、絶滅危惧種であるジャイアントパンダやキンシコウ(金絲猴)といった貴重な野生動物の生息地となっています。
登録基準
黄龍は以下の基準を満たしたと評価され、世界遺産に登録されました。
- (vii) ひときわ優れた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を包含するもの。
主な見どころ
| 景観名 | 特徴 |
|---|---|
| 五彩池 | 最上流部に位置する約693の石灰華池群。水の色が多彩に変化する。 |
| 争艶彩池 | 黄龍の中でも最も色彩が豊富とされる約600の池からなる景観。 |
| 黄龍寺 | 黄龍の名前の由来となったとされる寺院。明代に建立された。 |