龍門石窟とは
龍門石窟は、中国河南省洛陽市の南、伊河の両岸にある巨大な仏教石窟群です。北魏が洛陽に遷都した5世紀末から唐代にかけて、約400年間にわたり造営が続けられました。その規模は石窟数2,300以上、仏像数10万体以上にも及びます。北魏時代の荘厳で硬質な様式から、唐代の国際的で写実的な様式への変遷を明確に示しており、中国石窟芸術の最高峰として2000年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (i) 人間の芸術的創造性の頂点を示す、大規模かつ優れたコレクションである点。
- (ii) 長期間にわたり、アジア地域の文化的発展において極めて重要な役割を果たした、様式と芸術性の完成形を示している点。
- (iii) この地域社会の文化的洗練度の高さと、唐王朝の栄華を例外的な形で証明している点。
主な石窟
龍門石窟は伊河を挟んで西山と東山に分かれており、主要な石窟の多くは西山石窟に集中しています。
| 石窟名 | 特徴 |
|---|---|
| 奉先寺洞(ほうせんじどう) | 龍門石窟のハイライト。中央に鎮座する高さ約17mの盧舎那仏坐像は、唐の高宗の発願で造られ、則天武后がモデルとされる。豊満で慈悲深い表情が特徴。 |
| 古陽洞(こようどう) | 龍門で最も早く開鑿された石窟の一つ。北魏の貴族による造像が多く、力強い書体で知られる「龍門二十品」の多くがこの石窟にある。 |
| 蓮花洞(れんげどう) | 北魏時代末期の石窟。天井に見事な蓮華の浮き彫りがあることから名付けられた。本尊の仏像は優美で洗練された様式を示す。 |
| 万仏洞(まんぶつどう) | 唐代の石窟で、壁面全体に約15,000体の小さな仏像が整然と彫られていることからこの名がある。 |