雲崗石窟とは
雲崗石窟は、中国山西省大同市にある、5世紀後半に北魏王朝によって開鑿された大規模な仏教石窟群です。当時の都・平城の西郊外に位置し、東西約1kmの断崖に45の主要石窟と多数の小窟が並びます。インドのガンダーラや中央アジアの仏教美術の影響を色濃く受けた雄大な様式と、その後の中国的な優美な様式への変遷が見られ、中国仏教彫刻の最初の黄金期を築いた傑作として2001年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (i) 北魏時代に開花した中国仏教美術の優れた創作力と、その後の発展の源泉となった傑作である点。
- (ii) 中国で発展した仏教美術が、東アジア全域に影響を及ぼしたことを示す顕著な証拠である点。
- (iii) 雲崗石窟の仏像群は、5世紀の北魏における仏教信仰の厳格な姿を伝える文化的伝統の証拠である点。
- (iv) 仏教思想を石窟彫刻という形で表現した、中国における初期の最も優れた例である点。
主な石窟
雲崗石窟は、初期に開鑿された「曇曜五窟」と、その後に遷都までの間に造営された石窟群に大別されます。
石窟 | 特徴 |
---|---|
第16窟〜第20窟(曇曜五窟) | 高僧・曇曜の指揮のもと、北魏の歴代5人の皇帝を象徴して彫られた巨大な仏像を本尊とする5つの石窟。第20窟の露天大仏は雲崗のシンボルです。 |
第5窟・第6窟 | 平城時代の後期に造営された代表的な石窟。第5窟には高さ17mの雲崗最大の坐像があり、第6窟は壁面に釈迦の仏伝図が精緻に彫られています。 |
第9窟〜第13窟 | 中国的な宮殿建築様式が取り入れられ、彫刻も繊細で優美な様式へと変化しているのが特徴です。 |