安徽省南部の古村落 – 西逓・宏村とは
西逓(せいてい)と宏村(こうそん)は、中国安徽省南部にある明・清代の姿を今に残す古村落です。2000年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。「徽派建築」と呼ばれる白壁と黒瓦の美しい家々が立ち並び、風水思想に基づいて設計された町並みは、中国の伝統的な氏族社会と文化的景観を完璧な形で保存しています。特に宏村は、村全体が牛の形に設計されたとされる精巧な水路システムで知られています。
世界遺産登録基準
- (iii) 明清時代に安徽南部で栄えた徽商(きしょう)に代表される、消滅した文化的伝統や文明を独自の方法で証明している点。
- (iv) 徽派建築と、それらが形成する集落の景観が、封建時代の経済・社会構造を反映した建築・都市計画の顕著な例である点。
- (v) 周辺の自然環境と調和し、風水思想に基づいて計画された水系を持つ村落は、伝統的な人間の居住形態を示す優れた見本である点。
村落の特色と主な見どころ
両村落は、血縁で結ばれた氏族が集住した歴史を持ち、その中心には一族の祖先を祀る「祠堂」が設けられています。精緻な木彫りや石彫りが施された建築も見どころです。
村落名 | 特徴 |
---|---|
西逓(Xidi) | 約120棟の明清時代の民家が保存されています。まっすぐなメインストリートと多くの路地が特徴で、壮麗な「敬愛堂」や、商人屋敷の「惇仁堂」などが見どころです。 |
宏村(Hongcun) | 村の中央にある「月沼」と呼ばれる半月形の池と、南湖の美しい景観で知られます。村中に張り巡らされた水路は、今も生活用水として利用されています。 |