海印寺大蔵経板殿とは
海印寺(ヘインサ)は韓国の伽耶山にある古刹で、その境内にある「大蔵経板殿(チャンギョンパンジョン)」が、1995年に世界文化遺産に登録されました。この遺産は、高麗時代に製作された仏教経典の木版「高麗八萬大蔵経」の版木と、それを保管するために建てられた収蔵庫群そのものを指します。750年以上もの間、8万枚以上の版木を完璧な状態で保存してきた、その驚くべき建築技術が高く評価されています。
遺産の価値
- 最高の木版印刷技術: 八萬大蔵経の版木は、文字の美しさや校訂の正確さにおいて、現存する大蔵経の中でも最高傑作とされています。当時の木版印刷技術の高さを物語っています。
- 科学的な保存技術: 大蔵経板殿は、自然の風力と湿度を利用して内部の温湿度を一定に保つよう設計されています。大きさの異なる窓や床下の構造など、随所に先人の知恵が見られ、他に類を見ない科学的な保存建築です。
遺産の構成
世界遺産の核心は、版木そのものと、それを収めるために特別に設計された建物です。
| 構成要素 | 特徴 |
|---|---|
| 高麗八萬大蔵経の版木 | モンゴルの侵攻から国を守ることを祈願して13世紀に彫られた、81,258枚の経典の木版。 |
| 大蔵経板殿(蔵経板殿) | 15世紀に建てられた版木の収蔵庫。自然換気を利用して温湿度を調節し、版木を腐食や歪みから守る巧妙な設計が施されている。 |
登録基準
- (iv) 八萬大蔵経の版木を保存するために考案された15世紀の建築技術は、独創的かつ科学的で、他に類を見ない傑出した例である。
- (vi) 八萬大蔵経は、その正確性と芸術性において仏教経典の中でも極めて重要であり、歴史的、宗教的に特別な意義を持つ。