概要
「ヤロスラーヴリの歴史地区」は、首都モスクワの北東約250kmに位置する古都ヤロスラーヴリの中心部です。2005年に文化遺産として登録されました。ヴォルガ川とコトロスリ川の合流点に位置し、17世紀に商業都市として繁栄した時代に建てられた数多くの美しい教会と、18世紀にエカチェリーナ2世の改革によって導入された新古典主義的な都市計画が調和した、独特の景観が評価されています。
都市計画と建築
ヤロスラーヴリの歴史地区の価値は、2つの異なる時代の特徴が融合している点にあります。
- 新古典主義の都市計画:1763年の大火の後、エカチェリーナ2世の勅令により、放射状の街路と半円形の広場を持つ整然とした都市計画が導入されました。これはロシアにおける都市計画改革の傑出した実践例とされています。
- 17世紀の教会建築:都市計画によって整備された街区には、それ以前の繁栄期に建てられた教会が点在しています。これらの教会は、煉瓦造りの壁に鮮やかなタイルやフレスコ画で装飾され、玉ねぎ型のドームを持つ「ヤロスラーヴリ様式」として知られています。
主要な建造物
歴史地区には、ヤロスラーヴリ建築の粋を集めた重要な建造物が数多く残されています。
- 預言者エリヤ教会:17世紀半ばに建てられたヤロスラーヴリ様式の最高傑作。5つの緑色のドームを持ち、内部は聖書の場面を描いた見事なフレスコ画で埋め尽くされています。
- 救世主顕栄修道院:12世紀に創建された市内で最も古い修道院。城壁に囲まれ、いくつかの聖堂や歴史的建造物を含みます。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたとされています。
- (ii) ロシアと西ヨーロッパの文化的・建築的交流を示す顕著な例である。
- (iv) エカチェリーナ2世の治世下でロシア帝国全体に広められた新古典主義の都市計画と、ヤロスラーヴリの豊かな教会建築が融合した、傑出した建築的景観を形成している。