概要
「南アフリカの人類化石遺跡群」は、「人類のゆりかご」とも呼ばれ、人類の進化を解明する上で極めて重要な化石が多数発見された遺跡群です。1999年にステルクフォンテイン、スワートクランス、クロムドライなどが登録され、2005年にはマカパン渓谷とタウング頭蓋化石発見地が追加されました。これらの遺跡は主に南アフリカのハウテン州と北西州、リンポポ州に点在しています。
主要な化石遺跡と発見
この遺産は、それぞれが人類進化の異なる側面を明らかにする複数の遺跡で構成されています。
- ステルクフォンテイン、スワートクランス、クロムドライ:世界で最も豊富な人類化石が出土する地域の一つ。ステルクフォンテインでは、アウストラロピテクス・アフリカヌスの成人の頭蓋骨「ミセス・プレス」(1947年発見)や、ほぼ完全な骨格「リトル・フット」(1994年発見)が見つかっています。
- マカパン渓谷:約300万年前のアウストラロピテクスの化石が発見されており、初期人類の生活環境を知る手がかりを提供しています。
- タウング頭蓋化石発見地:1924年にアウストラロピテクス・アフリカヌスの幼子の頭蓋骨「タウング・チャイルド」が発見された場所。アフリカが人類発祥の地であるという説を裏付ける画期的な発見となりました。
人類進化における重要性
これらの遺跡群から出土した化石は、アウストラロピテクス属からホモ属への進化の過程、二足歩行の開始、初期人類の生態など、人類の歴史の初期段階に関する貴重な情報源となっています。パラントロプス・ロブストゥスなど、我々の直接の祖先とは異なる系統の化石も発見されており、人類進化の複雑な道のりを物語っています。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたとされています。
- (iii) 人類の進化の過程を明らかにする、他に類を見ない証拠を豊富に有している。
- (vi) ここでの発見は、人類の起源に関する科学的な理解を根本から変えるものであった。