概要
ロベン島は、南アフリカのケープタウン沖約12kmに位置する島で、1999年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。この島は17世紀から20世紀にかけて、ハンセン病患者の隔離施設や軍事基地、そして政治犯を収容する刑務所として利用されてきました。特に、反アパルトヘイト運動の指導者ネルソン・マンデラが18年間収監されていた場所として世界的に知られています。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと評価されています。
- (iii) その建物群は、抑圧の歴史を雄弁に物語る証拠である。
- (vi) 人間の精神の不屈さ、民主主義、そして抑圧に対する自由の勝利を象徴する場所である。
歴史的意義
ロベン島は、南アフリカのアパルトヘイトという暗い歴史の象徴です。ここで収監されたネルソン・マンデラをはじめとする多くの政治犯たちは、過酷な環境下でも学び、議論し、自由と平等のための闘いを続けました。彼らの不屈の精神は、アパルトヘイト撤廃と南アフリカの民主化を成し遂げる原動力となりました。今日、ロベン島は人種差別の悲劇と、それを乗り越えた人間の精神の勝利を伝える博物館として、訪れる人々に強いメッセージを投げかけています。「負の遺産」として、二度と過ちを繰り返さないための教訓を後世に伝える重要な役割を担っています。
島の主な施設
| 施設名 | 特徴 |
|---|---|
| ネルソン・マンデラの独房 | マンデラが18年間を過ごしたBセクションにある狭い独房。反アパルトヘイト闘争の象徴的な場所。 |
| 石灰石の採石場 | 政治犯たちが過酷な強制労働を強いられた場所。強い日差しと白い石灰の反射で多くの囚人が視力を損なった。 |
| Aセクション | ロバート・ソブクウェなど、特に危険と見なされた政治犯が隔離収容された区域。 |