概要
トランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群は、ルーマニア中部のトランシルヴァニア地方に点在する、ドイツ系移民(トランシルヴァニア・ザクセン人)によって築かれた7つの村です。13世紀から16世紀にかけて、オスマン帝国やタタール人などの度重なる侵攻から村を守るため、教会そのものを城壁や塔で武装させた「要塞教会」が建設されました。これらの村落は、ザクソン人の独自の土地利用計画や生活文化を今に伝える貴重な遺産として、1993年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
この村落群は、以下の基準を満たしたことが評価されています。
- (iv) 外部からの絶え間ない脅威に対応するために生まれた、要塞教会を中心とする集落防衛システムの顕著な見本です。
 
要塞教会の特徴
要塞教会は、単なる信仰の場ではなく、村人全員が籠城できる避難所としての機能を持っていました。教会の周囲には高い防御壁が巡らされ、見張り塔や食料を貯蔵する倉庫などが備えられていました。これにより、村全体が一体となった防衛共同体を形成していました。
主な構成資産(村落)
| 要塞教会のある村落名 | 特徴 | 
|---|---|
| ビエルタン | 丘の上に立つ巨大な要塞教会。三重の城壁を持ち、かつては司教座が置かれた。 | 
| ヴィスクリ | チャールズ英国王が保護活動に尽力したことで有名。白い壁が美しい素朴な要塞教会。 | 
| プレジュメル | ドイツ騎士団によって建設。蜂の巣状の部屋が城壁内部に設けられた大規模な農民要塞。 | 
| サスキズ | 丘の上の農民要塞跡と村の中心にある巨大な要塞教会が特徴。 |