武陵源とは
武陵源(ぶりょうげん)は、中国湖南省張家界市にある自然景勝地で、1992年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。総面積264平方キロメートルにわたり、3000本以上の石英砂岩の柱が林立する奇観で知られています。これらの石柱は、高いものでは200メートルを超え、まるで幻想的な森のような景観を創り出しています。
遺産の価値
武陵源の価値は、その地質学的な特異性と、それによって生み出された他に類を見ない壮大な自然美にあります。
- 奇跡の自然景観:無数の石柱や岩峰が聳え立つ風景は、世界でも非常に珍しいものです。霧や雲がかかると、山水画のような幽玄な世界が広がり、訪れる人々を圧倒します。映画『アバター』のモデルになったことでも有名です。
- 地質学的な重要性:この独特の地形は、約3億8000万年前に形成された石英砂岩が、長年にわたる地殻変動と水の浸食によって削られてできたものです。カルスト地形の一種であり、その形成過程を研究する上で学術的にも重要な価値を持っています。
主な見どころ
広大な敷地内には、特徴の異なる複数のエリアがあります。
名所名 | 特徴 |
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袁家界(えんかかい) | 映画『アバター』の「ハレルヤ・マウンテン」のモデルとされる「乾坤柱」があるエリア。石柱が密集し、迫力のある景観が広がる。 |
天子山(てんしざん) | 標高が高く、広大な石柱群をパノラマで一望できる。雲海の名所としても知られる。 |
金鞭渓(きんべんけい) | 清らかな渓流に沿って歩くことができるハイキングコース。見上げる石柱の景色が美しい。 |
登録基準
- (vii) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を産出するもの。
参考文献
「武陵源の自然景観と歴史地域」UNESCO World Heritage Centre. https://whc.unesco.org/ja/list/640