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マウォポルスカ南部の木造教会群

マウォポルスカ南部の木造教会群とは

ポーランド南部のマウォポルスカ地方に点在する、歴史的な木造教会群です。ゴシック様式を基調としながら、地域の伝統的な木造建築技術で建てられた独特の様式が特徴です。カトリック教会の伝統の中で発展したこれらの教会は、地域の信仰と文化の中心として、現在もその役割を果たしています。

世界遺産登録の概要

2003年に「マウォポルスカ南部の木造教会群」として世界文化遺産に登録されました。登録されているのは、特に歴史的・芸術的価値が高いとされる6つの教会です。

  • 登録基準(iii):現存しない文化や文明の存在を示す貴重な証拠である点。中世の教会建築の伝統が、地域の木工技術と融合して今日まで受け継がれていることが評価されました。
  • 登録基準(iv):特定の建築様式や技術、景観の優れた見本である点。水平な木材を組む「ログ構法」を用いた木造教会建築の、最も顕著な例として価値が認められています。

遺産の価値と特徴

この遺産の最大の価値は、中世後期に建てられたゴシック様式の教会が、石やレンガではなく木材で再現されている点にあります。貴族や王が建てた壮大な石造りの聖堂とは対照的に、地域の共同体が作り上げたこれらの木造教会は、素朴ながらも高い芸術性を持っています。内部は、壁や天井を埋め尽くす色鮮やかな多色装飾(ポリクローム)や、ゴシック様式の彫刻で飾られており、見事な空間を創り出しています。

主な構成資産(6つの教会)

世界遺産には以下の6つの教会が登録されています。

教会名 所在地 特徴
ビナロヴァの聖ミカエル・アルハンジェル教会 ビナロヴァ 1500年頃創建。内部の壁画やゴシック様式の彫刻が有名。
ブリズネの諸聖人教会 ブリズネ 15世紀半ばの創建。現存する中でも特に保存状態の良い多色装飾が見られる。
デンブノ・ポドハラニスキェの聖ミカエル・アルハンジェル教会 デンブノ 15世紀創建。ヨーロッパで最も保存状態の良い木造教会の一つとされる。
ハチュフの聖母被昇天・聖ミカエル・アルハンジェル教会 ハチュフ 14世紀末の創建。ゴシック様式の木造教会としては世界最大級。
リプニツァ・ムロヴァナの聖レオナルド教会 リプニツァ・ムロヴァナ 15世紀末の創建。墓地に囲まれた美しい景観を持つ。
センコヴァの聖フィリポ・聖ヤコブ教会 センコヴァ 16世紀初頭の創建。特徴的な高い屋根と外部回廊を持つ。

参考文献

「マーウォポルスカ南部の木造教会群」UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/1053

マウォポルスカ南部の木造教会群の基本情報

                         
国名 ポーランド共和国
世界遺産の名称 マウォポルスカ南部の木造教会群
遺産の種類 文化遺産
登録年 2003
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅲ)(ⅳ)
備考
範囲(ヘクタール)8.26
地図

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