杭州にある西湖の文化的景観とは
西湖は、中国浙江省杭州市にある淡水湖で、その風光明媚な景観で古来より知られています。単なる自然の湖ではなく、歴代の詩人や芸術家たちが理想の風景を追求し、堤や橋、島、寺院、庭園などを築き上げてきた「文化的景観」です。この「自然と人間の共同作品」は、中国の庭園設計や日本の風景観にも大きな影響を与え、2011年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (ii) 9世紀以降、人間の手によって造り変えられてきた西湖の景観は、理想化された風景観を広め、東アジアの庭園設計に多大な影響を与えた点。
- (iii) 西湖の文化的景観は、中国の伝統的な美意識と哲学を体現しており、特に「詩情画意」という文化的伝統の顕著な証拠である点。
- (vi) 何世紀にもわたり、数多くの詩、絵画、文学作品の題材となり、中国人の精神文化と深く結びついている点。
主な名所と西湖十景
西湖の美しさは「西湖十景」として体系化され、時代ごとに選定されてきました。以下はその代表的な名所です。
| 名所 | 特徴 |
|---|---|
| 蘇堤・白堤 | 唐代の詩人・白居易と宋代の詩人・蘇軾(蘇東坡)が築いたとされる湖を横断する堤。柳や桃が植えられ、美しい散策路となっています。 |
| 三潭印月(さんたんいんげつ) | 湖中の小島と、水面に立つ3つの石塔が織りなす景観。「中秋の名月」の夜、塔の穴から漏れる灯りが水面に映る様は幻想的です。 |
| 断橋残雪(だんきょうざんせつ) | 冬に雪が降った後、橋の陽の当たる部分の雪だけが溶け、遠くから見ると橋が途中で断たれているように見える景色を指します。 |
| 霊隠寺(れいいんじ) | 西湖の西側の山中にある、1700年以上の歴史を持つ禅宗の古刹。多くの仏教彫刻が刻まれた飛来峰も隣接しています。 |