アウクスブルクの水管理システムとは
アウクスブルクの水管理システムは、ドイツ南部バイエルン州の都市アウクスブルクにある、14世紀から現代に至るまで継続的に発展してきた水利システムです。飲料水の供給、水力エネルギーの利用、衛生的な排水路網など、時代ごとの最先端技術が幾重にも重なっている点が評価され、2019年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
この遺産は、水管理技術の発展と、それが都市の繁栄にいかに貢献したかを示す顕著な例です。
- 登録基準(ii): 給水塔やポンプ装置、水路網の建設において、ルネサンス期から産業革命期にかけて、常にヨーロッパの技術革新の最前線にあり、その技術は広く影響を与えました。
- 登録基準(iv): 15世紀から17世紀にかけて建設された給水塔群、産業を支えた運河網、世界初の水力発電所など、水管理の歴史の各段階を代表する22の構成資産が、都市の中に一体となって保存されています。
システムの主要な構成要素
- 給水塔とポンプ場: レヒ川とヴェルタハ川から取水し、都市の高台へ水を汲み上げるための施設群。特に「赤の門の水道塔」は1416年に建設された歴史を持ちます。
- 運河網(レヒ運河): 市内を網の目のように流れる運河。水車を回して手工業や工場の動力源となり、都市の経済発展を支えました。
- 記念碑的な噴水: 水の豊かさとそれを管理する技術力を象徴する、ルネサンス期の壮麗な噴水群。