トゥウェイフルフォンテーン(ツウィツァウス)
トゥウェイフルフォンテーンは、ナミビア北西部のダマラランド地方に位置する、アフリカ最大級の岩絵(ペトログリフ)の密集地です。2,500点以上にもおよぶ岩面彫刻が赤い砂岩の露頭に刻まれており、その多くは数千年前にこの地で暮らしていた狩猟採集民サン人によって制作されたと考えられています。この岩絵群は、彼らの生活、信仰、そして世界観を伝える貴重な記録です。
数千年の歴史を刻む岩絵群
トゥウェイフルフォンテーンの岩絵には、サイ、キリン、ゾウ、ダチョウといった多種多様な動物たちが、驚くほど写実的に描かれています。これらは単なる狩りの記録ではなく、雨乞いの儀式やシャーマンが動物の力を借りて異世界と交信する様子を描いたものなど、深い精神的な意味を持つと考えられています。特に、人間とライオンが融合したような「ライオン・マン」の彫刻は、シャーマニズムとの関連を示す重要な作品です。
| 代表的な岩絵 | 特徴 |
|---|---|
| ライオン・マンの岩絵 | 人の足跡を持つライオンの姿。シャーマンの変身儀式を表しているとされる。 |
| 動物たちの彫刻 | キリン、サイ、ゾウなど多種多様な動物が描かれ、当時の生態系を示す。 |
| 踊るクーズーの岩絵 | 儀式で踊っているかのようなクーズー(ウシ科の動物)の姿。 |
世界遺産登録基準
- (iii) 狩猟採集民の儀式や信仰といった文化的伝統を伝える、類いまれな記録です。
- (v) この地域の狩猟採集民と厳しい環境との関わりを示す、顕著な見本です。