ブルノのトゥーゲントハート邸とは
トゥーゲントハート邸は、チェコ共和国第2の都市ブルノにある個人邸宅で、2001年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。近代建築の三大巨匠の一人、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが設計を手がけ、1928年から1930年にかけて建設されました。モダニズム建築の理念を具現化した傑作として、20世紀の建築史に大きな影響を与えました。
建築史上の価値と革新性
トゥーゲントハート邸は、ミースが提唱した「ユニヴァーサル・スペース(普遍的空間)」という概念を住宅建築において実現した画期的な例です。鉄骨構造を採用することで壁の構造的制約から解放され、ガラスの壁や自由に配置された間仕切りによって、内部と外部が連続するような流動的で開放的な空間を生み出しています。オニキスの壁やマカッサル黒檀の円形の間仕切りなど、贅沢な素材をミニマルなデザインに組み込んだ点も特徴で、「Less is more(少ないことは、より豊かである)」という彼の理念を象徴しています。
世界遺産登録基準
- (ii) 鉄骨構造やオープンフロアプランといった革新的な空間概念と技術的解決法は、その後の近代建築の発展に決定的な影響を与えました。
- (iv) 機能主義と空間の流動性、そして内外の連続性を見事に融合させたトゥーゲントハート邸は、モダニズム建築運動における不朽の傑作と見なされています。