ジャイプールのジャンタル・マンタルとは
ジャイプールのジャンタル・マンタルは、インドのラージャスターン州ジャイプールにある天体観測施設群です。18世紀前半に、学識豊かなマハラジャであったサワーイー・ジャイ・シング2世によって建設されました。ムガル帝国時代の天文学と宇宙観の集大成であり、巨大で精巧な石造りの観測儀が20基ほど設置されています。その科学史上の価値と独特の建築美が評価され、2010年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
(iii) 文明の証拠: 18世紀初頭のインドにおける天文学的技術と宇宙論的思考を伝える優れた証拠です。
(iv) 建築様式の顕著な見本: 天文観測という目的に特化した記念碑的な建造物群であり、科学と建築が融合した独特の景観を形成しています。
主要な観測機器
ジャンタル・マンタルには、肉眼で天体を観測するための様々な機器があります。その多くが巨大な石材でできており、建築物と彫刻の中間のような独特の姿をしています。
- サムラート・ヤントラ: 高さ27メートルに及ぶ世界最大の日時計で、2秒単位という驚異的な精度で時刻を測定できます。
- ジャイ・プラカーシュ・ヤントラ: 半球状の窪みに天球図が描かれ、天体の位置を精密に観測するために使用されました。
- ラーマ・ヤントラ: 2つの円筒形の建造物からなり、天体の高度と方位を測定します。
- チャクラ・ヤントラ: 天体の赤緯と時角を測定するための金属製の円盤です。
科学的・建築的価値
ジャンタル・マンタルの観測機器は、単なる科学装置ではなく、その幾何学的な造形美も高く評価されています。マハラジャの科学への情熱と、当時の職人たちの高度な技術力が結集したこの施設は、西洋とは異なる文脈で発展したインド独自の天文学の到達点を示す貴重な遺産です。