WORLD HERITAGE
コースとセヴェンヌの地中海性農牧業の文化的景観
フランス南部のコースとセヴェンヌは、石灰岩高原と山地で移牧・牧畜を続けてきた文化的景観です。羊と乳製品、低地と高地を結ぶ季節移動、石造施設と共同利用、気候変動や担い手減少の中で生業を継承する保全を解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 2011年
- 登録基準
- (3)・(5)
- 種類
- 文化遺産
- 国・地域
- フランス
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
基本情報と遺産の意義
コースとセヴェンヌの地中海性農牧業の文化的景観はフランス南部にあり、2011年に文化遺産として登録基準(iii)(v)で登録されました。石灰岩高原、谷、山地に牧草地、移牧路、石造農家、囲い、給水施設が広がり、羊を中心とする地中海性の農牧業と季節移動が長期に形成した生きた景観です。
高原・谷・山地を結ぶ移牧
家畜は季節に応じて低地と高地の牧草地を移動し、気温、降水、草の生育を使い分けます。移牧路は家畜だけでなく、羊飼い、犬、物資、知識が移動する回廊です。毎年同じ経路・日程だったと固定せず、所有権、天候、交通、家畜種、制度の変化に応じて調整されてきた実践として理解します。
羊・乳製品・石造施設
放牧は乳、肉、羊毛、肥料を生み、チーズなどの加工と地域経済に結びつきます。農家、納屋、石垣、囲い、水場、道は、家畜管理と厳しい気候へ適応した施設です。製品のブランド物語だけでなく、搾乳、出産、獣医、草地管理、加工を担う女性や季節労働者の仕事を含めます。
歴史―土地制度と共同利用
牧畜景観は個人農家だけでなく、共同放牧、道の権利、修道院や領主の土地、近代の農業政策に影響されました。伝統を調和的な共同体として理想化せず、土地へのアクセス、階層、過放牧と規制、農家間の交渉を扱います。農牧民を変化を拒む人びとではなく、技術と市場を選択する現代の担い手として示します。
登録基準(iii)(v)
基準(iii)は地中海性農牧業と移牧の文化的伝統を伝える証言、基準(v)は人と環境の長期的な相互作用で形成された土地利用の顕著な例を評価します。検定ではフランス南部、文化的景観、石灰岩高原、羊、移牧、石造施設、基準(iii)(v)を結びます。自然の原生景観とは区別します。
生業の縮小と景観変化
農家の高齢化、後継者不足、価格、労働負担、獣害、交通が放牧の継続へ影響します。放牧が減ると低木・森林化が進み、生物相、眺望、山火事リスクが変わります。一方、放牧圧が高すぎれば土壌と植生を損ないます。頭数だけでなく、時期、場所、植生状態を見て適応的に管理します。
気候変動・観光と保全
干ばつ、猛暑、水不足、極端降雨は草地と家畜へ影響します。ハイキングや車両は移牧路を共有するため、門、犬、家畜との距離を守る必要があります。景観保全を外観規制だけにせず、農家収入、加工施設、獣医、若手参入、石積み技術を支援し、生業が続く条件を整えます。
農牧景観の資料と評価
古地図、土地台帳、家畜記録、航空写真、植生調査、農家の聞き取りを組み合わせると、道、石垣、草地、森林の変化が分かります。昔の写真へ景観を戻すことを目標にせず、どの時期のどの生業を守るのかを明示します。農家の知識を行政資料の補足扱いにせず、管理判断の根拠として記録します。
旅行と農牧業への配慮
移牧日程、通行、天候、火災、農場公開、交通は変わるため公式・地域情報を必ず再確認します。家畜へ近づかず、作業犬を刺激せず、門を元に戻し、私有牧草地へ入りません。地域産品を選ぶ際も動物福祉、労働、環境管理の説明を確認します。
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