コースとセヴェンヌの文化的景観とは
フランス南部に広がる石灰岩の高原(コース)と山地(セヴェンヌ)からなる地域で、少なくとも三千年にわたって続けられてきた地中海式の農牧業が形成した文化的景観です。人間と自然が長期間にわたり相互に作用してきた歴史を物語っています。
遺産の価値と登録基準
この遺産の価値は、現代において消失の危機にある伝統的な移牧(トランシュマンス)を中心とした農牧システムが、今なお地域社会によって維持され、文化的景観として生き続けている点にあります。羊飼いの道や石造りの農家、段々畑などが、厳しい自然環境に適応してきた人々の知恵を示しています。
- 登録基準(iii): 地中海地域の農牧畜文化の伝統を伝える、他に類を見ない生きた証拠である。
- 登録基準(v): 伝統的な土地利用の顕著な見本であり、特に移牧は、社会経済的な変化に対して脆弱な状態にある。
景観を構成する要素
この地域の文化的景観は、以下のような特徴的な要素から成り立っています。
- コース(Causses): 羊の放牧地として利用される広大な石灰岩の高原。
- セヴェンヌ(Cévennes): 栗の栽培や養蚕、ヤギの放牧などが行われてきた山地。
- ドラカイユ(Drailles): 季節ごとに家畜を移動させるための伝統的な移牧道。
- 伝統的な石造りの農家(Mas): 地域の自然石を利用して建てられた堅牢な農家や羊小屋。
- 段々畑(Bancels): 山の斜面を有効活用するために石垣を積んで作られた畑。
概要
所在地 | フランス、オクシタニー地域圏 |
登録年 | 2011年 |
登録基準 | (iii), (v) |