概要
タブリーズの歴史的バザール群は、イラン北西部のタブリーズ市にある世界最大級の屋根付き市場の一つです。古くからシルクロードの要衝として栄え、商業だけでなく文化的・社会的な中心地として機能してきました。その複雑な構造と千年以上にわたる歴史が評価され、2010年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (ii) その建築様式と都市計画は、長年にわたる文化交流の証拠であり、イスラム世界のバザール建築の優れた例を示しています。
- (iii) 中世から続く商業・文化活動の伝統を伝える類まれな証拠であり、社会システムが建築に統合されています。
- (iv) イスラムの伝統的な商業・文化複合施設の顕著な例であり、その規模と保存状態の良さが際立っています。
主な施設
バザールは、様々な商品を扱う商業エリアだけでなく、モスク、学校、隊商宿(キャラバンサライ)などの宗教的・社会的施設を内包する複合都市としての機能を持っています。
施設 | 特徴 |
---|---|
モスク | 商業活動の中心にあり、地域社会の宗教的な役割を果たす。 |
キャラバンサライ | 商人たちが休息し、商品を保管するための宿泊・倉庫施設。 |
学校(マドラサ) | 宗教教育や学問が行われるための施設。 |
遺産の価値
タブリーズのバザールは、単なる市場ではなく、社会、文化、経済、宗教が一体となった生きた都市空間です。アーチ状のレンガ造りの天井や装飾が施された建物はイスラム建築の美しさを象徴しており、今なお活気ある商業活動が続けられています。その歴史的価値を未来に伝えるため、厳格な保全管理が行われています。