頤和園とは
頤和園(いわえん)は、中国北京市郊外に位置する広大な皇室庭園で、1998年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。この庭園は、18世紀に清朝の乾隆帝によって建設された後、19世紀末に西太后によって大規模に改修・再建されました。頤和園は、中国庭園芸術の最高傑作とされ、その美しい景観と歴史的建造物が特徴です。
登録基準
- 登録基準(i) 「人類の創造的才能を表現する傑作」。庭園の設計は、自然の丘や湖と人工の建造物の調和を追求しており、清朝の庭園芸術と建築技術の頂点を象徴しています。
- 登録基準(ii) 「ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの」。園内の建築や庭園デザインには、中国各地の庭園様式が取り入れられ、融合しています。
- 登録基準(iii) 「現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠」。この庭園は、清朝後期の皇室の生活様式と文化を反映しており、特に西太后の政治の舞台となった歴史的意義を持っています。
遺産の価値
- 中国庭園芸術の粋 頤和園は、広大な昆明湖と万寿山を中心に、様々な宮殿、寺院、橋、回廊が巧みに配置されています。自然と人工物が一体となったその景観は、中国の「山水」思想を体現しています。
- 歴史の舞台 頤和園は、清朝末期の重要な政治の舞台でした。特に西太后がこの庭園を愛し、多くの時間を過ごしたことで知られ、彼女の権力と美意識を今に伝える貴重な遺産です。
主な見どころ
| 名称 | 特徴 |
|---|---|
| 長廊 | 全長728mの世界で最も長い回廊。梁には歴史物語や風景など1万4千枚以上の彩色画が描かれている。 |
| 仏香閣 | 万寿山の山頂に建つ高さ41mの仏塔。頤和園全体のシンボルであり、壮麗な景観を望める。 |
| 昆明湖と十七孔橋 | 庭園の中心に広がる広大な人造湖。湖には17のアーチを持つ美しい石橋が架かる。 |