文化交差路サマルカンドとは
「青の都」と称されるサマルカンドは、ウズベキスタンに位置する中央アジア最古の都市の一つです。シルクロードの中心地として、古代から東西の文化、宗教、商業が交差する「文化の交差点」として繁栄しました。特に14世紀にティムール朝の首都となって以降、その壮麗なイスラム建築で世界に名を馳せました。2001年、その歴史的価値が認められ「サマルカンド-文化交差路」として世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (i) レギスタン広場やビビハニム・モスクなど、ティムール朝時代の建築群は、イスラム建築における人類の創造的才能を示す傑作です。
- (ii) 建築、都市計画、芸術において、イラン、ペルシャからインド、ヨーロッパまで、多様な文化の影響を受け、それらを独自に融合させ発展させました。
- (iv) ティムール朝からウルグ・ベクの時代にかけての建築物や都市景観は、この地域における文化・政治発展の重要な段階を物語る顕著な見本です。
遺産の価値
壮麗なティムール朝建築
サマルカンドの建築は、その壮大なスケールと、「サマルカンド・ブルー」と呼ばれる青を基調とした鮮やかなタイル装飾が特徴です。巨大なドームやミナレット、精緻な幾何学模様やアラベスク模様のタイルワークは、ティムール帝国の権力と美意識を現代に伝えています。
東西文化の融合
サマルカンドには、世界中から最高の建築家、職人、学者が集められました。そのため、この地の文化や芸術には、ペルシャの洗練された様式、インドの技術、中国の意匠などが溶け込んでおり、まさに「文化の交差点」ならではの独創性が生まれています。
主な見どころ
サマルカンド観光の中心は、3つのマドラサ(神学校)に囲まれたレギスタン広場です。その他、ティムールの妻のために建てられたとされる巨大なビビハニム・モスクや、青いタイルで彩られた霊廟が並ぶシャーヒ・ズィンダ廟群など、見どころは尽きません。
| 建築物名 | 特徴 |
|---|---|
| レギスタン広場 | 「砂の広場」の意味。ウルグ・ベク、シェル・ドル、ティラカリの3つのマドラサが並ぶ。 |
| シャーヒ・ズィンダ廟群 | ティムールゆかりの王族や貴族が眠る霊廟群。「生ける王」の墓所とされる。 |
| ビビハニム・モスク | ティムールがインド遠征から帰還後に建設した、当時世界最大級のモスク。 |
| グリ・アミール廟 | ティムールとその子孫が眠る霊廟。「支配者の墓」を意味する。 |
観光と保全
「青の都」を一目見ようと世界中から観光客が訪れます。歴史的建造物の維持管理は重要な課題であり、特にソ連時代に行われた修復の評価も含め、真正性を保ちながらの保存活動が続けられています。