WORLD HERITAGE
砂漠の城クサイラ・アムラ
8世紀初頭のクサイラ・アムラは、接見広間とハンマームに人物・狩猟・動物・星座の壁画を残すウマイヤ朝の砂漠施設です。水利、部族地域との関係、三つの登録基準、湿気と観光圧を解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 1985年
- 登録基準
- (1)・(3)・(4)
- 種類
- 文化遺産
- 国・地域
- ヨルダン
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
基本情報と遺産の価値
クサイラ・アムラは、ヨルダンのアンマン東方、季節河川ワディ・ブトゥム沿いにあるウマイヤ朝時代の世界文化遺産です。1985年に登録基準(i)(iii)(iv)で登録されました。小規模な離宮に残る接見広間とハンマーム(浴場)は、人物、狩猟、動物、星座などを描いた壁画で知られます。UNESCO登録欄の資産面積は0.0445ヘクタールですが、遺産の価値を理解するうえでは、周囲の要塞跡や水利設備との関係も重要です。
ウマイヤ朝の王子と建設年代
UNESCOは建設を8世紀初頭と説明しています。一方、保存調査によって建設を命じた人物の名前が明らかになりました。イタリア外務省の2012年5月31日発表によれば、修復作業でワリード・イブン・ヤズィードの名を含む銘文が発見されています。
保存事業を論じたガエターノ・パルンボの研究は、後のカリフ・ワリード2世が王子だった時期、730年以後から743年以前の建設である可能性を示しています。したがって、単に「8世紀初頭」と覚えるだけでなく、銘文調査により造営者と年代の理解が具体化してきた遺跡です。
接見広間・浴場・水利の構成
浴場は脱衣室、温室、熱室からなり、接見広間と一体の建物を構成しています。隣接する井戸、貯水槽、揚水装置、排水管や汚水槽も、乾燥地域でこの施設を機能させる仕組みでした。数百メートル北には要塞・守備隊施設の遺構があり、農業用の集水施設の痕跡も残っています。UNESCOは、こうした施設をワディ・ブトゥムの部族地域と関係を築くための拠点として位置付けています。
壁画と星座ドーム
壁画には古典古代に由来する主題、ビザンツ風の肖像、狩猟、動物や鳥が描かれ、ギリシャ語とアラビア語の銘文も伴います。熱室のドーム天井に描かれた星座図は、天球をドーム面に表した現存する初期の例です。宗教施設とは異なる宮廷の空間に、初期イスラーム世界の多様な造形が残されています。
保存作業は図像の解釈も変えてきました。パルンボの研究は、補彩や汚れの除去と銘文の検討により、従来女性と考えられていた人物像が王子の肖像として理解されるようになった事例を紹介しています。ただし、通称「六王」の場面が具体的に何を意味するかには複数の解釈があり、描かれた人物や政治的意図のすべてが確定したわけではありません。
登録基準(i)(iii)(iv)
基準(i)は接見広間・浴場の壁画と星座ドームに表された独自の芸術的達成、基準(iii)はイスラーム以前の世俗文化を取り込んだウマイヤ文明への証言を評価しています。基準(iv)の対象は壁画建築だけではなく、要塞・守備隊、水利、農業用集水施設を含むウマイヤ朝の砂漠拠点としての構成です。
壁画の保存と地域の見方
UNESCOの2010年の保存評価は、湿気や結露による塩類析出・漆喰の剥離、1970年代に用いられた修復材料の経年変化、汚れや落書きなどを課題として挙げています。世界記念物基金(WMF)は、イタリアの保存機関とヨルダン考古局との協力事業で、1970年代に塗られた有害なシェラックを除去し、壁画の新たな細部を確認したと報告しています。鮮やかさの回復だけでなく、過去の処置を調べ直すことが遺跡の理解につながりました。
パルンボの研究では、管理計画の作成に際しバニ・サフルのベドウィン共同体と協議し、ハシェミット大学の学生も来訪者への聞き取りなどに参加したとされています。地域の人々が重視した季節的な水や樹木、牧草地の価値は、壁画の美術史的価値だけでは捉えられない側面です。これは研究で報告された協議の事例であり、地域全体に単一の見方があるという意味ではありません。
世界遺産検定で覚えるポイント
国はヨルダン、登録年は1985年、登録基準は(i)(iii)(iv)です。ウマイヤ朝、8世紀、接見広間、ハンマーム、具象壁画、ギリシャ語・アラビア語銘文、星座ドーム、井戸と揚水設備が主な要点です。造営者は銘文に名が残るワリード・イブン・ヤズィードで、保存研究は730~743年頃の建設を示しています。
参考文献
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EXAM ESSENTIALS
世界遺産検定で押さえるポイント
- 国はヨルダン、登録年は1985年、登録基準は(i)(iii)(iv)です。
- ウマイヤ朝、8世紀、接見広間、ハンマーム、具象壁画、ギリシャ語・アラビア語銘文、星座ドーム、井戸と揚水設備が主な要点です。
- 造営者は銘文に名が残るワリード・イブン・ヤズィードで、保存研究は730~743年頃の建設を示しています。
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