オルホン渓谷の文化的景観とは
オルホン渓谷の文化的景観は、モンゴル中央部のオルホン川流域に広がる広大な地域で、2004年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。この地は2千年以上にわたり、中央アジアの遊牧民の歴史と文化の中心地であり続けました。特に、6世紀の突厥、8世紀のウイグル、13世紀のモンゴル帝国といった強大な遊牧国家がこの地に拠点を置いたことから、「草原の帝国」の歴史を物語る多くの遺跡が残されています。
世界遺産登録基準
- (ii) 東西の文化、宗教、技術が交差する場所であり、特にテュルク系、ウイグル系、モンゴル系の遊牧文化の発展において重要な役割を果たした点が評価されました。
- (iii) 中央アジアの遊牧民社会の文化的伝統、特にシャーマニズムと仏教の共存を示す優れた証拠であることが評価されました。
- (iv) 数世紀にわたる遊牧国家の首都や宗教施設の遺跡群が、文化的景観として非常に良好に保存されている点が評価されました。
主要な遺跡
オルホン渓谷には、異なる時代の重要な遺跡が点在しています。
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| ビルゲ・カガンとキュル・テギンの碑文 | 8世紀初頭に建てられた突厥文字の石碑。古代テュルクの歴史を知る上で非常に重要な資料。 |
| ハル・バルガス遺跡 | 8世紀から9世紀にかけて栄えたウイグル可汗国の首都遺跡。城壁や宮殿の跡が残る。 |
| カラコルム遺跡 | 13世紀にチンギス・カンによって建設が始められたモンゴル帝国の首都。最盛期には東西文化の交流点として繁栄した。 |
| エルデネ・ゾー寺院 | 16世紀に建立されたモンゴル最古のチベット仏教寺院。カラコルムの遺跡の建材を利用して建てられた。 |