ナンダ・デヴィと花の谷国立公園とは
ナンダ・デヴィと花の谷国立公園は、インド北部ウッタラーカンド州の西ヒマラヤ山脈に位置する世界自然遺産です。険しく近づきがたい「ナンダ・デヴィ国立公園」と、色とりどりの高山植物が咲き誇る「花の谷国立公園」という、対照的ながらも生態系として一体となった2つの地域から構成されています。その圧倒的な自然美と、独特の生態系が評価され、1988年にナンダ・デヴィが、2005年に花の谷が拡大登録されました。
世界遺産登録基準
(vii) 自然美: インド第2の高峰ナンダ・デヴィ(標高7,816m)を擁する氷河と高峰の壮大な景観と、花の谷の牧歌的で美しい高山植物の草原は、ともに比類のない自然美を誇ります。
(x) 生物多様性の保全: 孤立した高山環境であるため、多くの固有種や絶滅危惧種が生息しており、生物多様性の保全上、世界的に重要な地域です。
構成資産の概要
ナンダ・デヴィ国立公園
女神ナンダの名を冠する高峰ナンダ・デヴィを囲むように広がる、険しい山岳地帯にあります。人を寄せ付けない厳しい自然環境が、手つかずの生態系を維持してきました。入域は厳しく制限されており、学術調査などを除き一般の立ち入りはできません。
花の谷国立公園
モンスーン期の夏になると、300種類以上もの高山植物が一斉に開花し、谷全体がさながら花の絨毯のようになります。比較的アクセスしやすく、トレッキングコースとして人気がありますが、自然保護のため滞在は日中に限られています。
希少な動植物
この地域は、高地に適応した貴重な野生動物の生息地です。また、花の谷は植物学者にとっても重要な場所となっています。
- 主な動物: ユキヒョウ、ヒマラヤジャコウジカ、バーラル(ブルーシープ)、ヒマラヤタール、ヒグマなど。
- 主な植物: ヒマラヤの青いケシ(ブルーポピー)をはじめとする、多くの固有種を含む高山植物。