敦煌の莫高窟とは
莫高窟は、中国甘粛省敦煌市の近郊にある、世界最大級の仏教石窟寺院群です。鳴沙山の断崖に、4世紀から14世紀にかけて約1000年にわたり掘り続けられました。シルクロードの要衝に位置し、東西の文化、宗教、芸術が交流する中で独自の仏教芸術が花開きました。「砂漠の大画廊」とも称され、精緻な壁画や仏像が数多く残されており、1987年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (i) 1000年にわたる仏教芸術の発展を示しており、人類の創造的才能の傑作である。
- (ii) 中央アジアと中国の芸術様式が融合した、他に類を見ない芸術を生み出した。
- (iii) 仏教が中国社会に根付いていった過程を物語る、他にない証拠である。
- (iv) 石窟芸術という建築様式の優れた見本である。
- (v) かつては繁栄した文化の中心地であったが、現在は失われた文明を証明している。
- (vi) 仏教がアジア各地に広まる上で、極めて重要な役割を果たした。
石窟の価値と主な窟
莫高窟には大小492の石窟があり、その壁画の総面積は約45,000平方メートルに及びます。20世紀初頭には、膨大な量の古文書や経典が発見された「蔵経洞」が発見され、世界的な学術研究の宝庫ともなりました。
| 石窟番号 | 特徴 |
|---|---|
| 第96窟 | 「北大仏」とも呼ばれる、高さ約35.5mの巨大な弥勒大仏坐像を納める。莫高窟のシンボル的な存在。 |
| 第17窟(蔵経洞) | 11世紀初頭に封鎖されたとみられ、20世紀に偶然発見された。5万点以上もの経典や古文書、仏画が発見された。 |
| 第148窟 | 全長約15mの巨大な涅槃像が横たわる。壁面には釈迦の生涯を描いた壮大な壁画が広がる。 |
| 第257窟 | 北魏時代に描かれた壁画「鹿王本生図」が有名。躍動感あふれる構図と色彩で知られる莫高窟の代表的な壁画の一つ。 |