ミステイクン・ポイントとは
カナダ東端、ニューファンドランド・ラブラドール州のアバロン半島南東端に位置する海岸です。この地の断崖に露出した地層から、地球最古の大型多細胞生物の化石群が発見されました。これらの化石は約5億8000万〜5億6000万年前のエディアカラ紀のもので、生命進化の初期段階を解明する上で極めて重要な証拠であることが評価され、2016年に世界自然遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
この遺産は、以下の登録基準を満たしています。
- 登録基準(viii) 地球の歴史: ミステイクン・ポイントの化石群は、カンブリア爆発以前の時代に、多様で複雑な形態を持つ大型生物が既に存在していたことを示しています。特に、これらの生物が水深の深い「深海底」に生息していたこと、そして海底火山からの火山灰によって瞬時に埋没し、生息していたそのままの場所(in situ)で化石になったことが、科学的に非常に重要です。
太古の海底に触れる
ミステイクン・ポイントの化石は、岩盤の表面にシダ植物の葉のような模様や、円盤状、房状の奇妙な形で無数に刻まれています。これらは動物でも植物でもない、現存しない分類群の生物(エディアカラ生物群)と考えられています。化石は非常に脆弱なため、見学はガイド付きツアーでのみ許可されており、訪問者は専門家の解説を聞きながら、太古の海底の様子を想像することができます。
主要な化石 | 年代 |
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チャーニア | シダの葉のような形状をした、エディアカラ生物群を代表する化石。 |
ディッキンソニア | 楕円形で、体節のような構造を持つ化石。 |
トリブラキディウム | 三放射相称という珍しい特徴を持つ、円盤状の化石。 |
ミステイクン・ポイントは、地球上の生命がどのようにして複雑な形態を獲得していったのか、その謎を解くための「決定的証拠」が眠る場所です。厳しい自然環境の中に残されたこの奇跡的な化石海岸は、地球史の壮大さを体感させてくれます。