概要
「ワロン地方の主要な鉱山遺跡群」は、ベルギー南部のワロン地方に点在する4つの炭鉱遺跡からなる世界文化遺産です。19世紀から20世紀にかけてヨーロッパの産業革命を支えた石炭産業の歴史を物語るもので、2012年に登録されました。これらの遺跡は、当時の最先端の採掘技術と、鉱山労働者の生活や社会構造を今日に伝えています。
おもな構成資産
この遺産は、ワロン地方の70kmにわたる鉱業地帯から選ばれた、最も保存状態の良い4つの炭鉱で構成されています。
- グラン=オルヌ (Grand-Hornu): 理想的な工業都市を目指した初期の都市計画の傑作。採掘施設と労働者住宅が一体となっています。
- ボワ・デュ・リュック (Bois-du-Luc): 19世紀から20世紀にかけての労働者の生活を伝える集落や施設が完全な形で保存されています。
- ボワ・デュ・カジエ (Bois du Cazier): 1956年に262人の犠牲者を出した大惨事の現場であり、現在は産業と移民の歴史を伝えるメモリアルサイトとなっています。
- ブレニー鉱山 (Blegny-Mine): 実際に地下坑道を見学できる、ヨーロッパでも数少ない炭鉱の一つです。
遺産の価値
これらの鉱山群は、産業革命がヨーロッパ大陸にもたらした技術的・社会的変革の縮図です。蒸気機関の導入や地下深部での採掘技術の発展を示すだけでなく、鉱山を中心に形成された労働者都市の建築様式や、移民労働者が果たした役割など、近代産業社会の光と影を包括的に示している点にその価値があります。
登録基準
この世界遺産は、以下の登録基準を満たして登録されました。
- (ii) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- (iv) ある歴史上の時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。