概要
マックォーリー島は、オーストラリアと南極大陸の間に位置する無人島で、タスマニア州に属します。1997年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。この島は、地球のプレートが隆起して海面上に姿を現した、世界でも非常に珍しい場所です。また、亜南極に位置するため、キングペンギンやゾウアザラシをはじめとする膨大な数の海鳥や海洋哺乳類の繁殖地となっており、その独特な地質と生態系が高く評価されています。
地質学的な価値
マックォーリー島の最大の価値は、地球の深部にあるはずのマントルが地表に露出しているという、地質学上の奇跡にあります。通常、島の多くは火山の噴火によって形成されますが、この島はインド・オーストラリアプレートと太平洋プレートが衝突し、海底の地殻とマントルの一部が押し上げられてできました。これにより、海洋プレートの構造を陸上で直接観察できる世界で唯一の場所となっており、「地球の窓」とも呼ばれています。
豊かな生態系
厳しい自然環境の中、島は多種多様な野生動物の楽園となっています。
- 海鳥: 4種類のペンギン(特にキングペンギンとロイヤルペンギン)の巨大な繁殖コロニーがあり、その数は数百万羽にのぼります。また、4種類のアホウドリの繁殖地でもあります。
- 海洋哺乳類: ミナミゾウアザラシの世界最大級の繁殖地の一つであり、繁殖期には島が巨大なアザラシで埋め尽くされます。
- 植物: 樹木は育たず、強風に適応した巨大な草本類やコケ類、地衣類が島全体を覆う独特の植生が見られます。
世界遺産登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録されました。
- (vii) 海岸線に密集するペンギンやアザラシの群れと、独特の植生が織りなす景観は、圧倒的な自然美と荘厳さを示している。
- (viii) 海洋地殻が海面上に露出している世界で唯一の場所であり、プレートテクトニクス理論を証明する地球史の顕著な見本である。