概要
「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」は、イタリアのシチリア島南東部に位置する8つの町(カターニア、ラグーザ、モディカ、シクリ、ノート、カルタジローネ、ミリテッロ・イン・ヴァル・ディ・カターニア、パラッツォロ・アクレイデ)を対象とする世界遺産です。これらの町々は、1693年の大地震で壊滅的な被害を受けた後、18世紀に後期バロック様式(シチリア・バロック)で見事に再建されました。
歴史
1693年1月、シチリア島南東部を巨大な地震が襲い、この地域の多くの町が壊滅しました。しかし、住民たちは絶望から立ち上がり、当時のヨーロッパで流行していたバロック様式を取り入れ、壮麗で芸術的な都市を再建しました。この復興計画は、単なる修復ではなく、演劇的な都市空間の創造を目指したもので、広い通り、美しい広場、曲線的なファサードを持つ教会や宮殿が特徴的な、統一感のある都市景観を生み出しました。
主な構成都市
世界遺産に登録されている8つの町は、それぞれがシチリア・バロックの至宝とされています。
- ノート: 復興の象徴とされる町。蜂蜜色の石材で造られた建物が夕日に輝く様子から「石の庭園」と称されます。
- ラグーザ: 旧市街「イブラ」と新市街「スペリオーレ」が丘の上に広がり、サン・ジョルジョ大聖堂が町のシンボルです。
- モディカ: 谷間に広がる町で、サン・ジョルジョ大聖堂やサン・ピエトロ教会など、100以上の教会があります。
世界遺産登録と登録基準
この地域一帯の都市計画と建築群が、後期バロック芸術の集大成であると同時に、災害からの創造的な復興の証として評価され、2002年に世界文化遺産に登録されました。登録基準は以下の通りです。
- (i) 人類の創造的才能を表す傑作。
- (ii) 建築や都市計画の発展に重要な影響を与えた。
- (iv) 後期バロック時代を代表する顕著な建築様式・都市計画の見本。
- (v) 自然災害の脅威にさらされながらも存続する、伝統的集落や土地利用の顕著な見本。
建築物 | 所在地 | 特徴 |
---|---|---|
ノート大聖堂 | ノート | 壮麗なファサードを持つシチリア・バロックの象徴的建築物 |
サン・ジョルジョ大聖堂 | ラグーザ | 高台にそびえ、町のどこからでも見えるランドマーク |
サン・ジョルジョ大聖堂 | モディカ | 壮大な階段の上に建つ、華麗な装飾が特徴の教会 |