要塞村アイット・ベン・ハドゥとは
要塞村アイット・ベン・ハドゥ(Ksar of Ait-Ben-Haddou)は、モロッコ南部のワルザザート近郊、アトラス山脈の麓に位置する要塞化された村(クサール)です。1987年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。泥レンガで作られた「カスバ」と呼ばれる邸宅が密集しており、プレ・サハラ時代の土着建築様式を今に伝える貴重な例です。かつてはサハラ砂漠を越える交易ルートの重要な中継地として栄えました。
世界遺産登録基準
- (iv) モロッコ南部の伝統的な土着建築の非常に優れた見本であり、特に丘の斜面に築かれたその構造は、プレ・サハラ地方における居住形態の顕著な例証である点が評価されました。
- (v) 厳しい気候や自然環境に適応した、伝統的な人間の居住形態が非常によく保存されている点が評価されました。
遺産の概要と価値
アイット・ベン・ハドゥは、丘の斜面に沿って建物が階段状に配置され、全体が防御壁で囲まれています。角には見張り塔がそびえ、村の頂上にはアガディール(共同の穀物倉)が築かれています。集落内には住居のほか、広場、モスク、隊商宿(キャラバンサライ)などが含まれ、防衛と居住の両機能を兼ね備えた巧みな都市計画が見られます。
建築には、日干しレンガや赤土、藁を混ぜたものが使われており、周囲の自然景観と見事に調和しています。この伝統的な建築技術と、サハラ交易の中継地として多様な文化が交差した歴史的背景が、この遺産の大きな価値となっています。映画『アラビアのロレンス』や『グラディエーター』など、数多くの映画のロケ地としても知られています。
主要な建造物 | 特徴 |
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カスバ群 | 塔を持つ城砦のような邸宅。裕福な家族が住んでいたと考えられている。 |
アガディール(穀物倉) | 集落の頂上に位置する共同の穀物貯蔵庫。見張り台も兼ねる。 |
防御壁と塔 | 集落全体を囲む壁と、 stratégiquement配置された見張り塔。 |
共同施設 | モスク、広場、隊商宿(キャラバンサライ)など。 |