20世紀の産業都市イヴレーアとは
イヴレーアは、イタリア北部ピエモンテ州に位置する都市です。20世紀にタイプライターや計算機で知られるオリベッティ社が、産業と建築、都市計画を融合させた理想的な産業都市を建設した功績により、2018年に世界文化遺産に登録されました。生産活動だけでなく、労働者の生活や福祉、文化活動を重視した先進的な都市モデルとして評価されています。
世界遺産登録基準
- (iv) 建築技術の発展を示す顕著な例。20世紀のモダニズム建築を代表するイタリアの著名な建築家や都市計画家が設計した工場、オフィス、住居、社会サービス施設などが含まれます。
遺産の概要
この遺産は、オリベッティ社の創業者カミッロ・オリベッティと、その後を継いだ息子アドリアーノ・オリベッティの構想に基づいています。彼らは単なる生産拠点ではなく、労働者が豊かに暮らせるコミュニティの創造を目指しました。その結果、機能性とデザイン性を両立させた工場、快適な集合住宅、保育所や図書館などの文化・福祉施設が一体となった都市景観が生まれ、20世紀の産業社会における企業と社会の関係性について、革新的なビジョンを提示しました。
主要な施設
施設名 | 特徴 |
---|---|
オリベッティ工場(ICO工場) | ガラス張りのファサードが特徴的なモダニズム建築の傑作。 |
労働者の住居群 | 「タルトゥーフォ(トリュフ)」の愛称で知られるドーム型の住居など、独創的なデザインの集合住宅。 |
社会サービス・文化施設 | 保育所、食堂、図書館などが整備され、労働者とその家族の生活を支えた。 |
参考文献
「Ivrea, industrial city of the 20th century」. UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/1538