概要
「イシマンガリソ湿地公園」は、南アフリカ共和国東部のクワズールー・ナタール州沿岸に広がる広大な自然保護区で、1999年に南アフリカ初の世界自然遺産として登録されました。公園の名称「イシマンガリソ」はズールー語で「奇跡」や「驚異」を意味し、その名の通り、変化に富んだ景観と類い稀な生物多様性を誇ります。
多様な生態系
この公園の最大の特徴は、比較的狭い地域に5つの主要な生態系が相互に関連しあって存在していることです。
- 海洋生態系:インド洋に面し、温暖なアグラス海流の影響でサンゴ礁が発達。ザトウクジラやイルカ、ウミガメなどが回遊し、沖合では生きた化石シーラカンスも発見されています。
- 沿岸砂丘:世界で最も高い部類に入る、草木に覆われた巨大な砂丘が連なります。
- 湖沼群:アフリカ最大の河口湖であるセントルシア湖を中心に、大小様々な湖が点在します。
- 湿地帯:湖の周囲には広大なパピルスやヨシの湿地が広がり、水鳥の楽園となっています。
- 西部海岸:古代の海岸線が隆起してできた台地で、サバンナや森林が広がります。
豊かな生物多様性
これらの多様な環境が、多種多様な動植物を育んでいます。公園内では多数の鳥類、ナイルワニ、カバのほか、アフリカゾウ、クロサイ、ヒョウなどの大型哺乳類も生息しています。一つの公園内で、ホエールウォッチングとサファリドライブの両方が楽しめる、世界でも稀有な場所です。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたとされています。
- (vii) 多様な地形が織りなす、比類のない自然美を誇る。
- (ix) 河川、海洋、陸上の生態系が相互作用する、現在進行中の生態学的・生物学的プロセスを示す顕著な例である。
- (x) 絶滅危惧種を含む多種多様な生物が生息し、生物多様性の保全上、極めて重要な地域である。