タッタとマクリの歴史的建造物群
パキスタン南部シンド州にある「タッタとマクリの歴史的建造物群」は、1981年に世界文化遺産に登録されました。この遺産は、かつてシンド地方の中心都市であったタッタと、その近郊に広がる世界最大級のネクロポリス(共同墓地)であるマクリの丘から構成されます。14世紀から18世紀にかけてのイスラム建築の変遷をたどることができる貴重な場所です。
世界遺産登録基準
- 登録基準 (iii): 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。シンド地方で栄えたイスラム文明の顕著な証拠であり、特にその葬送儀礼と建築様式を伝えています。
遺産の概要と価値
マクリの丘には、約8平方キロメートルの広大な敷地に、王族、聖者、学者など50万人から100万人が眠るとされ、数多くの霊廟や墓石が立ち並びます。これらの墓廟は、石やレンガ、タイルなど様々な素材で作られており、中央アジアやペルシャ、ムガル、そしてヒンドゥーの影響を受けた多様な建築様式が見られます。精緻な彫刻が施された石造りの墓や、鮮やかな青いタイルで装飾されたドームなど、その芸術性の高さは圧巻です。一方、タッタ市内に残るシャー・ジャハーン・モスクは、ムガル皇帝が寄進した壮麗なタイル装飾で知られ、この地域の建築技術の頂点を示しています。
主な構成資産
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| マクリのネクロポリス | 世界最大級の墓地遺跡。時代や身分によって異なる多様な様式の墓廟が点在する。 |
| シャー・ジャハーン・モスク | 100以上のドームと、幾何学模様のタイル装飾が美しい壮大なモスク。 |