ジェッダ歴史地区:メッカへの玄関口とは
ジェッダ歴史地区は、サウジアラビアの紅海沿岸都市ジェッダの旧市街(アル・バラド)であり、2014年に世界文化遺産に登録されました。7世紀以来、イスラム教の聖地メッカへ向かう巡礼者のための主要な港として栄え、多様な文化が交流する拠点としての歴史を刻んできました。
この地区は、珊瑚石で建てられ、「ロシャン」と呼ばれる精巧な木製の出窓で飾られた塔状の家々が密集する、独特の都市景観で知られています。
登録基準
- 登録基準 (ii): インド洋の交易ルートにおける文化交流を反映した、独特の建築様式を示している点。
- 登録基準 (iv): 19世紀から20世紀初頭にかけて紅海沿岸で栄えた商家建築の顕著な例である点。
- 登録基準 (vi): 何世紀にもわたり、メッカへの巡礼(ハッジ)を管理する中心地としての役割を果たした歴史的意義。
遺産の価値
ジェッダ歴史地区の価値は、メッカへの玄関口として、世界中のイスラム教徒を受け入れてきた国際性と、それに伴って育まれた独自の建築文化にあります。紅海の海洋環境に適応し、交易によってもたらされた多様な文化要素が融合した「ロシャン」を持つ塔状家屋は、この地区ならではの貴重な遺産です。
遺産の概要
地理と環境
紅海に面した港湾都市として発展。高温多湿な気候に適応するため、風通しを良くする工夫が凝らされた建築様式が見られます。
主要な建築物
地区内には歴史的な家屋、モスク、市場(スーク)が今も残っています。
| 建物 | 特徴 | 
|---|---|
| ナシーフ家 | 地区を代表する大商人の邸宅。保存状態が良く、博物館として公開。 | 
| 塔状家屋群 | 珊瑚石と木材を使用。風通しを良くする「ロシャン」が特徴的。 | 
| アッ=シャーフィイー・モスク | 地区で最も古いモスクの一つ。13世紀に遡るミナレットを持つ。 | 
観光と保全
多くの歴史的建造物が老朽化しており、サウジアラビア政府主導で大規模な修復・保存プロジェクトが進められています。伝統的なスークは今も活気があり、歴史的な雰囲気の中で買い物を楽しむことができます。

 
    
       
       
       
       
       
       
       
       
      