概要
テルチは、チェコ・モラヴィア地方にある「モラヴィアの真珠」と称えられる美しい町です。もともとは木造の家が並ぶ町でしたが、1530年の大火でそのほとんどが焼失。当時の領主ザハリアーシュ・ス・フラデツの指導のもと、石造りの統一感あるルネサンス様式の町として再建されました。この奇跡的に保存された歴史地区が、1992年に世界文化遺産に登録されました。
ザハリアーシュ広場
テルチの最大の見どころは、町の中心にある細長いザハリアーシュ広場です。広場を囲むように、パステルカラーで彩られたルネサンス様式やバロック様式の家々(ブルジョワの家)が整然と並んでいます。これらの家は、1階部分がアーケードで繋がり、切妻壁(ゲーブル)の形や壁の装飾は一軒一軒異なりますが、建物の高さや奥行きが統一されているため、見事な調和を生み出しています。この景観は、領主の都市計画の賜物です。
テルチ城
広場の北端には、ゴシック様式の城をルネサンス様式に改築したテルチ城が隣接しています。イタリアの芸術家たちを招いて作られた豪華な内装、特に黄金の間や青の間の格天井(ごうてんじょう)は見事です。城と広場の建物群が一体となって、完璧なルネサンス空間を創り出しています。
世界遺産登録基準
- (i) 広場に面した家々のファサードは、ルネサンスおよびバロック様式の最高傑作であり、極めて高い芸術的価値を持つ。
- (iv) テルチの町並みは、16世紀の火災の後、計画的に再建された都市の顕著な例であり、その建築様式は非常に良好な状態で今日まで保存されている。
参考文献
- UNESCO World Heritage Centre. “Historic Centre of Telč”. https://whc.unesco.org/en/list/621